
参院予算委員会は2日午前、岸田文雄首相と関係閣僚が出席し、ウクライナ情勢をめぐって集中審議を行った。首相は、ロシアの軍事侵攻に協力するベラルーシへの制裁を週内にも実行する考えを表明。「同国の明白な関与に鑑み、ルカシェンコ大統領をはじめとする個人・団体への制裁措置や輸出管理措置を講ずる」と述べた。自民党の佐藤啓氏への答弁。
ロシアなどへの制裁に関し、首相は「国民、日本企業にも影響が及ぶことは避けられないが、国際秩序の根幹を守る目的のために行動する重要性を理解いただきたい」と強調。影響を可能な限り抑えるとして、さらなる原油価格高騰に対応するため、産油国への働き掛けを行う考えを示した。自民党の猪口邦子氏への答弁。
今回の軍事侵攻を契機に、米国の核兵器を自国内に配備して共同運用する「ニュークリア・シェアリング(核兵器の共有)」の議論を求める声が与野党から出ていることに対し、首相は非核三原則などに触れ、「政府として認めることは難しい。議論することは考えていない」と明言した。立憲民主党の田名部匡代氏への答弁。
新型コロナウイルス禍の影響で延期されている核拡散防止条約(NPT)再検討会議をめぐっては「核兵器のない世界を目指し全力を尽くす覚悟であり、NPTを国際的な核軍縮不拡散体制の礎石として重視している」と指摘。会議出席を検討する意向も示した。猪口氏への答弁。
年末に改定する外交・安全保障の基本方針「国家安全保障戦略」について、首相は「今回のウクライナ侵略も踏まえ策定する」と強調。北方領土での日ロ共同経済活動に関しては「新たな経済分野の協力を進めていく状況にはない」と述べた。立民の杉尾秀哉氏らへの答弁。
時事通信