
東京:日本人ファッション界の大物・前澤友作氏、「社会実験」と称して自身のツイッターフォロワーに900万米ドルをプレゼントし、この支給が対象者の幸福度を上げるかどうか確認。
前澤氏は、1月1日のポストをリツイートした自身のフォロワーからランダムに1000人を選んで、100万円(9000米ドル)を付与し、このお金の影響を定期的調査で追跡する。
「これは、真剣な社会実験だ」と前澤氏はユーチューブで語り、学界や経済学者から関心を引きたいとも望んでいると付け加えた。
前澤氏は、イーロン・マスク氏のスペースXで月に行く最初のプライベート旅行者となる予定で、アートやスポーツカーへの多額の支出で有名だが、同時にお金のない世界といったアイディアについて熟考する傾向も有している。
彼は、このプレゼントをベーシックインカムのアイディアと関連付けている。すなわち、定期的な紐づけなしの支給を全ての市民に与えるという理論で、一定の政治勢力の間で勢力を増しており、民主党の米国大統領選挙候補者アンドリュー・ヤングが支持している。
「ベーシックとは、安心感を与える定期的支給の最少額を意味い、前澤氏の支給とは全く異なる」と第一生命研究所シニアエコノミストの長浜敏郎氏は語る。
前澤氏は、支出をするだけの「お金と自由時間を持っている」とし、この理論の日本におけるメリットに関して実験を行い、より広く議論を提起する必要を感じたという。
ユニバーサルベーシックインカムの考えは、人工知能などの技術が大量の職を不必要にするという恐れから支持を広げているが、この懸念は現在のところ、労働市場が緊迫している日本ではあまり顕在化していないと長浜氏は言う。
今回の試みは、11月に彼のオンラインファッション事業ゾゾをソフトバンクグループ社に売却したことで9億ドルの給料日を確保した起業家前澤氏による、二度目かつより大規模なプレゼントとなる。
前澤氏は、最近女優の交際相手剛力彩芽氏と破局したことでニュースになったが、目立つ消費の見せつけと人生の意義に関するくだけたコメントを組み合わせたツイートで700万人近いフォロワーを獲得している。
ユーチューブは、彼にとって最新のオンラインメディアで、プライベートジェットでの旅行あや、染髪のための理髪院訪問、11月の棚ぼた後の預金通帳記帳を含む動画を公開している。
ベーシックインカムに関する議論は、米国で所得の不平等が広がる中で沸き起こっている。米国では近年、マイクロソフトの共同設立者ビル・ゲイツから投資家のウォーレン・バフェットに至るまで、最も富裕な事業家が持てる富の大半の寄付を約束している。
ロイター