
東京電力は4日午前、福島第1原発から出る放射性物質トリチウムを含む処理水を海洋放出する設備の建設工事を始めた。来年春ごろの工事完了を目指すが、悪天候などにより海上での作業が遅れた場合、夏ごろにずれ込む可能性があるとしている。
ただ、風評被害への懸念は根強く、設備が完成しても実際の放出に当たっては地元関係者の理解が必要になる。
建設する海洋放出設備には、約1キロ先の沖合に処理水を放出するための海底トンネルのほか、処理水を攪拌(かくはん)した上で、トリチウム以外の放射性物質が基準未満かどうか調べるタンクや配管がある。また、測定後の処理水を海水で薄め、トリチウム濃度が国の基準値の40分の1未満になるようにする希釈設備などがある。
4日は処理水を希釈設備に移送する配管の敷設などを開始。シールドマシンを使った海底トンネルの掘削にも着手した。
原子力規制委員会は7月、東電の放出計画を認可。福島県と同原発が立地する大熊、双葉両町は今月2日、東電に建設了承を回答していた。
時事通信