新型コロナウイルスのオミクロン株に対応した改良型ワクチンの接種が20日午前、一部地域で始まった。
ワクチンは19日から全国へ配送されており、準備の整った自治体から順次開始される。
厚生労働省は当面、4回目の接種となる60歳以上の高齢者らを優先し、10月中旬以降は2回目までを終えた12歳以上に拡大する。
過去最多の感染者数となった今夏の「第7波」のピークは過ぎたものの、年末年始の感染再拡大や季節性インフルエンザとの同時流行が懸念されている。
このため政府は、1日100万回を超えるペースでワクチンを打つ体制を整備し、全ての希望者への年内接種完了を目指す。
職域接種も実施する。
改良型の接種では、12日に特例承認された米ファイザー社と米モデルナ社製の2種類のワクチンを使用する。
ファイザー製は12歳以上、モデルナ製は18歳以上が対象。いずれも中国・武漢由来の株とオミクロン株「BA.1」に対応する「2価ワクチン」で、現在主流の派生型「BA.5」にも効果がある。
一方、ファイザー社は13日、BA.5がベースの新たな改良型についても厚労省に承認を申請。
最新のワクチンが出回るまで打たない「接種控え」が懸念されるとして、同省は「接種可能な時点で使用できるワクチンで速やかに受けてほしい」と呼び掛けている。
接種間隔は5カ月としたが、欧米では2~3カ月と短くしていることから、厚労省は10月下旬をめどに短縮を検討する。
11月以降に対象者が大幅に増えることが想定されるため、同省は自治体に対し接種券などの準備を進めるよう求めている。
東京都港区の集団接種会場では20日午前9時半ごろから接種が始まり、1時間で男女8人がファイザー社製を打った。
区によると、この日は約20人が予約しているという。
接種を受けた区内の男性(76)は、「オミクロン対応のワクチンだからと言って安心してはいけないが、少しは感染が防げると思う」とほっとした様子で話した。
時事通信