
安倍晋三元首相が奈良市で街頭演説中に銃撃され死亡した事件は、8日で発生から3カ月となった。
殺人容疑で送検された無職山上徹也容疑者(42)の刑事責任能力を調べる鑑定留置が続く中、奈良県警などは事件の全容解明に向け捜査を続けており、銃刀法違反など殺人容疑以外の立件も検討している。
山上容疑者は7月8日午前11時半ごろ、奈良市の近鉄大和西大寺駅前で安倍氏を銃撃し、殺人未遂容疑で現行犯逮捕された。
調べに対し、容疑を認め「世界平和統一家庭連合(旧統一教会)に恨みがあり、安倍氏が(旧統一教会と)つながりがあると思った」と供述。
「母親が入信して家庭がめちゃくちゃになった」という趣旨の話もしたという。
捜査関係者によると、山上容疑者は事件で使用した銃や火薬について、インターネット上の動画を参考にして作ったとみられる。
自宅の捜索では形状が異なる数丁の手製銃や火薬のような粉末が押収された。
県警は科学捜査研究所などで殺傷能力の有無などを確認。
手製銃の発射実験も行い、銃刀法違反(所持、発射)や武器等製造法違反、火薬類取締法違反の容疑での立件を検討している。
当時、安倍氏は参院選の応援演説中だったことから、公選法違反(選挙の自由妨害)容疑も視野に入れている。
捜査幹部は「本人に妨害する意思があったかを調べる必要がある」と話す。
また、事件前日に奈良市内の旧統一教会関連施設が入居するビルに試射したとされ、県警などは建造物損壊容疑などで捜査している。
山上容疑者の鑑定留置期間は11月29日まで。
別の捜査幹部は「捜査は滞りなく進んでいる。
殺人罪での起訴が最優先だが、その他の容疑も当然視野に入れて捜査を進める」と話した。
時事通信