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日本が観光客を受け入れ再開も、土産物店は休業、旅館・ホテルは人手不足

日本では火曜日から、数十ヶ国からのビザなし渡航が再開される。(AFP)
日本では火曜日から、数十ヶ国からのビザなし渡航が再開される。(AFP)
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10 Oct 2022 06:10:44 GMT9
10 Oct 2022 06:10:44 GMT9

日本では今週、パンデミックにより2年以上にわたって課されている入国制限が緩和され、海外からの訪問客に門戸が開かれる。しかし、多くの店がシャッターを下ろし、接客従業員が不足する中、観光需要への期待は厳しい逆風に晒されている。

日本では火曜日から、数十ヶ国からのビザなし渡航が再開され、新型コロナ感染拡大防止のために課されていた世界で最も厳しい水際対策が緩和される。岸田文雄首相は、観光が経済を活性化し、24年ぶりの水準となった円安の恩恵を受ける助けになると期待を寄せている。

東京の旅館「澤の屋」の三代目主人の澤新(あらた)さんは、海外からの観光客の復活を待ち望む一人だ。以前はこの旅館の宿泊客の90%を海外からの客が占めていた。

「コロナ前のように、海外から多くの方が日本に来てほしいと思って待っています」と澤さんは語る。

2022年に入ってこれまでに日本を訪れた人の数は50万人強で、過去最高を記録した2019年の3180万人には遠くおよばない。2020年には政府は夏季オリンピックに合わせて4000万人の目標を掲げていたが、コロナのせいでオリンピックは延期され目標も立ち消えになってしまった。

岸田首相は先週、訪日外国人旅行消費額の年間5兆円(345億ドル)達成という政府の目標を発表した。しかし、パンデミック中にやせ衰えた観光部門にとって、この目標は壮大すぎるかもしれない。政府のデータによると、2019年から2021年の間に旅館・ホテルの雇用は22%減少している。

野村総合研究所のエコノミストである木内登英氏はレポートの中で、訪日外国人旅行消費額は2023年には2兆1000億円までしか伸びず、2025年まではコロナ前の水準を上回らないだろうと書いている。

日本経済新聞によると、日本航空の赤坂祐二社長は先週、水際対策緩和が発表されて以降、海外から日本に向かう国際線の予約数が3倍に伸びていることを明らかにした。一方で、国際線の需要がコロナ前水準に回復するのは2025年ごろになるだろうと話した。

ゴーストタウン

東京から約70キロメートル離れた日本最大の国際空港である成田空港は、260軒ある店舗や飲食店のうち約半数が休業しており、不気味なほどに静かなままだ。

ニュージーランドから来たマリア・サザリーさん(70)は、第1ターミナル出発ロビーを指しながら、「半分ゴーストタウンのようです」と言う。

サザリーさんの息子は北海道に住んでいる。今年の冬には孫娘と一緒に日本に来たいが、ワクチンを打たせるには幼すぎるから多分無理だろうと語る。日本への入国はワクチン接種が必須となっているのだ。

「来年まで待とうと思います」

「アミナコレクション」の進藤さわと社長は、成田空港にある土産物店3店舗を休業にしており、来年の春までは再開しない可能性が高いと語る。

同社は、パンデミック中は国内観光に重点を置くため、スタッフや商品を成田空港から、全国に120店舗あるチェーンの中の別の店舗に振り分けた。

「コロナ前の状況に急に戻ることはないと思います」と進藤社長は言う。「他の国と比べると制限がまだかなり厳しいですから」

日本ではまだ、室内でのマスク着用や大声で話さないことが強く推奨されている。金曜日には旅館業法改正案が閣議決定され、感染症の流行時に感染防止策に従わない客の宿泊を旅館・ホテルが拒否できるようなった。

旅行会社向けのコンサルタント(匿名希望)は、この2年間でサービス業従業員の多くは観光以外の分野でより良い労働条件や賃金を見つけているため、彼らを呼び戻すことは難しいかもしれないと語る。

「接客業は賃金が低いことで非常に悪名高いので、政府が観光を重要な産業と位置づけるのであれば、財政的な支援や補助金が必要でしょう」

日本政府は今月から「全国旅行支援」を開始する。これは交通費や宿泊費に割引が適用されるキャンペーンで、新型コロナ感染者数急増を受けて停止された2020年の「Go To トラベル」キャンペーンと同様の施策だ。

逼迫した労働市場

市場調査会社の帝国データバンクによると、正規従業員が不足していると回答した国内の旅館・ホテルの割合は、今年8月には約73%で、前年同月の約27%から増えている。

富士山麓の河口湖畔の富士河口湖町では、ある業界団体の職員(匿名希望)によると、パンデミック前は労働市場逼迫の中で旅館は人手確保に苦労していたが、今後も同様の状況を予期しているという。

静岡の温泉リゾート「陽気館」の専務取締役である稲葉明久さんも同じような見通しを持っている。夏の間は人手不足のせいで従業員は休みを取れなかったという。

「当然、インバウンド旅行が回復したら人手不足はもっと顕著になるでしょう」と稲葉さんは言う。「だから、諸手を挙げて喜んでいいものかどうか分かりません」

海外からの訪問客がマスク着用などの日本で一般的な感染防止策に従うかどうかも心配の種だ。パンデミック中のほとんどの期間において厳しい水際対策は広く支持を得ていた。また、新たなウイルス変異株の出現への不安も依然として存在している。

「パンデミックが始まってから今まで、海外からのお客様は数えるほどしか来ていません」と、東京の旅館主人の澤さんは言う。「そのほとんどはマスクを着けていましたが、これから日本に来る人たちも同じかは分かりません」

「旅館の中ではマスクを着けていただくよう丁寧にお願いするつもりです」

ロイター

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