日本、オーストラリア両政府は今月下旬に豪州で予定する日豪首脳会談に合わせ、新たな「安全保障協力に関する共同宣言」を発表する方向で調整に入った。
中国が東・南シナ海に加えて、南太平洋への進出を強めていることを念頭に、日本が「準同盟国」と位置付ける豪州との防衛協力をさらに強化するのが狙い。
複数の日本政府関係者が17日、明らかにした。
岸田文雄首相は同日の自民党役員会で、首脳会談を22日に行うと説明。
「自由で開かれたインド太平洋の基軸となる両国が、今後の域内安保、経済戦略を進める上で腹合わせをしたい」と述べた。
ウクライナ危機に伴うエネルギーや食料の価格高騰への対応も協議する考えを示した。
首相は豪州西部の都市パースでアルバニージー首相との会談に臨む。
新たな共同宣言には、日豪間の「特別な戦略的パートナーシップ」の深化や、安全保障協力の拡大が盛り込まれる方向だ。
中国は今年に入り、豪州にとって安全保障上重要な位置にある南太平洋のソロモン諸島と安保協定を結ぶなど、海洋進出の動きを強めている。
安保協力に関する現行の共同宣言は2007年3月、当時の安倍晋三首相と豪州のハワード首相が署名。
テロ対策や麻薬取引などの国際犯罪への共同対処、安保面での交流強化、北朝鮮の核・ミサイル問題の解決に向けた協力を打ち出した。
ただ、ハワード政権は中国との経済関係を重視し、中国を刺激するような記述は見送られていた。
日豪は既に、燃料や弾薬を融通し合う「物品役務相互提供協定」や、両国の部隊が互いの国を訪問する際の法的地位などを定めた「円滑化協定」を締結。
米国、インドとともに日米豪印4カ国の枠組み「クアッド」の連携強化も進めている。
時事通信