


ソウル:北朝鮮は20日、さらに2発の弾道ミサイルを東海岸から発射した。「挑発行為」停止を求めるアントニオ・グテーレス国連事務総長による声明を無視するかたちとなった。
金正恩総書記の妹、金与正氏は米軍に対する軍事演習の停止を求め、太平洋を「射撃場」にすると警告した。
ステファン・ドゥジャリク国連報道官は19日の声明において、グテーレス氏が北朝鮮に対し「いかなる挑発行為もすぐにやめる」ことを繰り返し求めていたことを発表した。
「事務総長は、朝鮮民主主義人民共和国によるさらなる大陸間弾道ミサイルの発射を強く非難する」として、北朝鮮に注意喚起した。
北朝鮮が弾道ミサイルを発射したことを受け、韓国政府は北朝鮮の兵器開発に関与した4個人と5機関に対して新たに制裁を加えた。
今回の弾道ミサイル発射は、北朝鮮がICBMを日本の西岸沖に向けて発射してから、わずか2日後の出来事だった。ICBMの発射を受けて米国は19日、韓国および日本それぞれと合同演習を実施していた。
北朝鮮の国営メディアは、多連装ロケット砲から発射体2発をそれぞれ395km(245マイル)と337km(209マイル)先を目標に発射したことを報道した。
「今回動員した600ミリ多連装ロケット砲は戦術核兵器の手段」で、敵の飛行場を「麻痺」させることが可能だと朝鮮中央通信(KCNA)は報じている。
日本の防衛省は、2発の弾道ミサイルはGMT22時00分頃に発射され、最大高度は50〜100キロに達し、350〜400キロ飛行したのちに日本のEEZ外に落下したと発表した。
航空機や船舶への被害は報告されていない。
防衛省は声明で、米国と緊密に連携しながら情報の収集および分析を続けていくと発表した。
「北朝鮮によるたびたびの弾道ミサイル発射を含む一連の行動は、日本・地域・国際社会の平和と安全を脅かすものである。日本は北朝鮮に対して強い抗議と強力な非難を表明した」と防衛省は発表した。
高まる緊張
北朝鮮の金正恩総書記の妹である金与正氏は、米国が週末に空軍の合同訓練を日韓と行った後、朝鮮半島における米国による戦略兵器の影響力が増していることについて警告した。
「北朝鮮の安全保障に対して米国の戦略兵器が及ぼしうる影響力を入念に調査している」。「我が国の射撃場として太平洋を使用する頻度は米軍の行動にかかっている」と金与正氏は声明で述べた。
金与正氏はまた、金総書記からの命令を受けてから9時間以上の準備を要したという「突然の」ミサイル発射について、一部専門家によるミサイルの能力に対する評価に異議を唱え、ミサイル発射時に韓国は偵察機を飛ばすことすらしていなかったと述べた。
「我々は満足のいく技術と能力を保有しており、今後は兵力拡大に注力していく」。「緊張を高める最悪の狂人たちに、その行動のツケを払わせようとする我々の意思に変わりはないことを、改めて断言する」とした。
米韓によって、実弾射撃訓練を含む大規模野外演習が今後数週間から数ヶ月のうちに行われることになっており、アナリストは半島の緊張がますます高まるだろうと予測している。
また米韓は22日に米国防総省にて、抑止戦略委員会机上訓練と呼ばれる模擬的な核演習を行うことになっている。
ソウルにある梨花女子大学校のPark Won-gon教授は、20日のミサイル発射と声明は、同盟国による合同軍事演習に対し「かつてなく執念深く強力に」対応する、という北朝鮮外務省による最近の脅迫に沿ったものだと述べた。
「北朝鮮は合同演習を受けて問題を引き起こし、半島の緊張を掻き立てて核能力を強化しようとしているように見えます。そして金与正氏の発言はさらなる挑発行為があるという合図です」とPark教授はいう。
昨年には米国全土を射程圏内に捉えるICBMを含め、前例のない数のミサイル発射実験を行った北朝鮮にとって、20日のミサイル発射は今年に入ってから3回目の大型兵器実験となった。
AFP/ロイター