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H3ロケット、異例の失敗=第2段着火せず、電源系に異常―元三菱重工課長「まさか」

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12 Mar 2023 11:03:03 GMT9
12 Mar 2023 11:03:03 GMT9

宇宙航空研究開発機構(JAXA)の新型ロケット「H3」1号機は、第2段エンジンに着火せず、打ち上げに失敗した。日本の主力ロケット失敗は1990年代後半以降で6回目だが、これまではエンジンのポンプやノズルの破損など、機械的なトラブルだった。今回は飛行中に送信されたデータから電源系統に異常が見つかっており、電気系やコンピューターによる自動制御が原因とすれば、初めての例となる。

過去5回の失敗のうち、H3と同じ液体燃料ロケットはH2・5号機と8号機、H2A・6号機の3回で、残る2回は固体燃料ロケットのM(ミュー)5・4号機とイプシロン6号機だった。

三菱重工業で液体ロケットエンジン設計課長を務め、H2やH2Aの開発に携わった松山行一名古屋大特任教授(64)は、H3・1号機が第2段エンジンに着火しなかったと知って絶句した。「実績ある第2段なので、まさかと思った」という。

このエンジン「LE―5B―3」は、液体水素と液体酸素を燃焼させ、ガスを噴射する。1986年に初飛行したH1ロケット用に開発された初代以降、改良を重ねて5代目に当たる。H2やH2A、H2Bでも第2段に搭載され、高性能で信頼性は極めて高い。失敗の原因となったのは98年のH2・5号機の1度しかない。

この時は2回予定した燃焼のうち、2回目で途中停止した。製造時の作業ミスで燃焼室に亀裂が生じ、高温の燃焼ガスが漏れて電源配線が焼き切れた。

「LE―5B―3」は先代より燃焼時間を長くするなどの改良が施された。松山さんは「電子部品に不具合があったか、電子機器の組み立て作業にミスがあったか。それとも回路の設計に問題があり、試験段階で検証し切れなかったのか」と首をひねる。データ解析で原因を絞り込めれば、H3・2号機用の第2段で確認できる可能性があるという。

原因究明と対策に時間がかかれば、後続機の打ち上げの遅れが懸念される。特に火星の衛星フォボスからの試料回収を目指す探査機や、国際宇宙ステーションに物資を運ぶ新型補給機の打ち上げは影響が大きい。 

時事通信

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