

バンコク:2007年にミャンマーで起きた「サフラン革命」の取材中に殺害された日本人ジャーナリストの遺族が26日に氏が撮影した最後の映像を公開した。15年前の射殺事件以来行方不明になり、最近返還されたビデオカメラに残っていた映像だった。
反政府デモ中に長井健司氏(当時50歳)が撮影した最後の映像は、ミャンマーを専門とする報道機関、DVB(「ビルマ民主の声」)が入手し、26日にバンコクで長井氏の遺族にカメラを返却した。
ミャンマーの治安部隊は僧侶が率いたデモの間に数千人を逮捕した。反軍事政権のデモとしては数十年で最大規模の暴動に発展し、少なくとも13人が殺害された。
この映像の中で、長井氏は商業の中心地ヤンゴンの抗議者の姿と、兵士が乗ったトラックが走ってくる様子をとらえ、次にレンズを自分に向けて撮影している。
長井氏の妹の小川典子氏は、彼の映像がミャンマーで起きている暴力について目を向けさせるきっかけになることを望んでいると語った。現在、ミャンマーでは、暫定政権による10年間の民主化を経て2021年のクーデターで軍が権力を掌握し、騒乱が続いている。
バンコクで小川氏は「今回の件を通して再びミャンマーに目が向けられ、世界中の人々に今の状況を何とかしなければならないと感じていただければと願っています」と報道陣に語った。
小川氏は、カメラと映像を日本に戻して分析し、未解決のままになっている兄の死に関して徹底的な捜査を支援すると述べた。
DVBの共同設立者エー・チャン・ナイン氏は、長井氏のカメラの入手経路については関係者の安全を守るためとして明らかにしなかった。
長井氏は、軍がデモ隊に向けて発砲した際に撃たれた。2007年にミャンマーから密かに持ち出され、広まった映像には、道路に後ろ向きに倒れた長井氏をすぐそばからライフルで狙う兵士が映っていた。ロイターの写真家も地面に倒れた長井氏の姿をとらえていた。
当時、ミャンマー当局は、長井氏が撃たれたのは事故だと述べており、日本政府は、彼が至近距離で殺害されたとは結論づけられないとしていた。
小川氏は「真実を見極めて、真相を明らかにしていただきたい」と言っている。
ロイター