
ソウル:北朝鮮の攻撃から韓国を守るという米国の決意を示すべく、1980年代以来初めて米海軍の核弾頭潜水艦(SSBN)が韓国に入港する。
この訪問は、26日水曜日にワシントンで開催されたユン・ソンヨル韓国大統領とジョー・バイデン米国大統領との首脳会談の共同宣言において発表された。
戦時下での生存確保と核ミサイル発射能力を維持するために秘密性と隠密性を重視している米国のSSBNが公に外国港へ入港することは非常に稀である。
韓国の元潜水艦長兼飛行隊長のムン・クンシク氏は、「通常、潜水艦の位置が明かされることはないので、これは北朝鮮にとって大きな圧力になるかもしれない」と述べた。
同潜水艦は韓国へ入港する一方、米国家安全保障会議の戦略的コミュニケーション担当コーディネーターであるジョン・カービー氏は、日本や近隣地域に戦略的原子力潜水艦を寄港させる予定はないと述べた。
米国は、韓国から米国本土までを射程とする強力なミサイルを開発しつつある北朝鮮を抑止するため、韓国に、空母、潜水艦、長距離爆撃機などのいわゆる「戦略資産」の配備をさらに行う旨を約束している。
今回の潜水艦寄港は、韓国に安心を与えることにより、韓国が自国で核兵器を開発するという議論を抑える手段であるとも考えられている。
同じく韓国の退役潜水艦艦長のチェ・イル氏はロイターに対し、「米国のSSBNが韓国に寄港し停泊するというのは、非常に稀であり、象徴的な出来事です。米国は、抑止力を強化してゆくことを目に見える形で示し、韓国の懸念を抑えたいのです」と語った。
北朝鮮は、米国が近時行った空母配備や韓米合同軍事演習に対して、同盟国らが敵対的意図を有している証拠だとして非難している。
米国海軍は、しばしば「ブーマー」と呼ばれるSSBNを14隻保有している。オハイオ級潜水艦は、1万2千キロ離れた目標に最大8発の核弾頭を打ち込むことができるトライデントIID5ミサイルを、1隻あたり20発搭載することができる。
アメリカ科学者連盟の報告書によれば、1970年代、韓国が米国によるコミットメントの強さと自国が核武装する必要性について議論していた時期には、SSBNは定期的に韓国へ寄港していた。
同報告書の著者であるハンス・クリステンセン氏は、「数年間にわたって、ブーマーはほぼ毎月、時には月に2~3回、一定の頻度で寄港していた」と記している。「その後、1981年に寄港が止んで以来、ブーマーが戻ってくることはなかった。
韓国への寄港について詳細は明らかにされていないが、同宣言では、「これは、朝鮮半島への戦略資産の定常的可視性をさらに強化する」という米国のコミットメントを示す証拠になるであろうと述べられている。
匿名を条件として取材に応じた某米国高官は記者団に対し、今回の訪問は、戦略資産がより頻繁に朝鮮半島を訪れるという事態の一端となるだろうが、韓国に「戦略資産や核兵器を常駐させたり基地化したりするという構想は存在しない」と語った。
ロイター