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北朝鮮、軍事偵察衛星打ち上げ失敗を物ともせず再打ち上げを宣言

韓国軍が公開した、打ち上げに失敗し海上に墜落した北朝鮮の宇宙発射体の引き揚げられた一部。2023年6月16日。(聯合、AP経由)
韓国軍が公開した、打ち上げに失敗し海上に墜落した北朝鮮の宇宙発射体の引き揚げられた一部。2023年6月16日。(聯合、AP経由)
北朝鮮のロケット発射のファイル画像を伝えるニュース番組が映ったテレビ画面。2023年6月19日(月)、韓国ソウルのソウル駅。(AP)
北朝鮮のロケット発射のファイル画像を伝えるニュース番組が映ったテレビ画面。2023年6月19日(月)、韓国ソウルのソウル駅。(AP)
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19 Jun 2023 06:06:03 GMT9
19 Jun 2023 06:06:03 GMT9
  • 「最も深刻な」欠陥に責任のある科学者らが厳しく批判されたと国営メディアは伝えた
  • 北朝鮮は「米国の世界支配に向けた略奪的戦略」に対抗するために、2022年以降ミサイル発射実験を100回以上実施している

ソウル、韓国:北朝鮮の高官らは、先月実施された同国初の軍事偵察衛星の打ち上げの失敗を今年「最も重大な」欠陥と呼び、責任者らを厳しく批判するとともに、再打ち上げに向けた準備を進めることを宣言した。国営メディアが19日に伝えた。

5月末、軍事偵察衛星を搭載した北朝鮮のロケットが打ち上げ直後に墜落したことで、指導者の金正恩(キム・ジョンウン)総書記による、米国および韓国への監視を強めるための宇宙偵察システム獲得の試みは後退した。

金総書記と高官らが出席して18日までの3日間行われた朝鮮労働党中央委員会総会では、この打ち上げ失敗について、また保有兵器を現代化するための北朝鮮の取り組みについて重点的に議論された。

この会議についての朝鮮中央通信によ長文の記事は、誰の発言であったかは明確にしなかったが、会議での報告は「衛星打ち上げの準備を進めた責任者らの無責任さを厳しく批判した」と伝えた。

この報告では、打ち上げ失敗から教訓を得て、ロケット墜落の原因を究明したうえで、早い期日内に打ち上げを成功させることが責任者らや科学者らの任務であるとされた。

北朝鮮が具体的にいつ再打ち上げを試みる可能性があるかについては明らかにされていない。しかし先頃、韓国情報機関は議員らに対し、北朝鮮が打ち上げ失敗の原因を突き止めるまでには「数週間以上」かかる可能性が高いと伝えた。

北朝鮮監視団体からは、打ち上げ失敗に関わった科学者やその他の関係者の粛清や解雇は伝えられていない。金総書記が指導者となった当初に自身の権力を強化するために大量の処刑や粛清を指示したのはよく知られるところだが、観測筋によると、国の兵器開発計画に携わる科学者や技術者は厚遇されてきた。

軍事偵察衛星は、金総書記が米国主導の敵対行為と呼ぶものに対処するために獲得を目指すことを公言しているいくつかのハイテク軍事資産の一つである。他に保有を望んでいる兵器システムは、多弾頭ミサイル、原子力潜水艦、固体燃料式大陸間弾道ミサイル、極超音速ミサイルだ。

2022年に入ってから、北朝鮮はミサイル発射実験を100回以上実施している。その一部は、金総書記のウィッシュリストに入っている軍事偵察衛星やその他の強力な兵器の開発に関連したものだった。

4月には、初めて固体燃料式大陸間弾道ミサイルの発射実験を行った。この種のミサイルは燃料が予め内部に搭載されているため、液体燃料を使用したロケットよりも機動性が高く、発射前に外部から検知されにくい。

朝鮮中央通信によると、政治局員らは党総会で、北朝鮮の核兵器やミサイルの保有を拡大する取り組みは「大きく進展」していると主張し、これらの兵器は敵対勢力との「正面対決」を維持するという政府の政策を支えるものであると述べた。 

また、地域の「極度に悪化している安全保障状況」は敵対勢力による「無分別な戦争行為」によって引き起こされていると分析した。米韓の軍事演習の拡大を指したものとみられる。対抗措置の計画が全会一致で可決されたが、具体的な内容は言及されなかった。

米韓は北朝鮮が核保有を進めていることを受けて軍事演習の規模を拡大しており、北朝鮮が核兵器の使用を試みれば金正恩政権が終焉することになると警告している。

朝鮮中央通信によると、北朝鮮政治局員らは、国益を守るための、また「米国の世界支配に向けた略奪的戦略に反対する」諸国との連帯を強化するための「重要な任務」を定めたが、その具体的な内容には言及しなかった。

北朝鮮はウクライナ戦争をめぐってロシアとの関係を強化しようと努めてきた。ウクライナ危機の責任は米国にあり、欧米は「覇権主義的政策」を追求していると非難したうえで、ロシアが自衛のためにウクライナで軍事行動を取ることは正当化されると主張している。

北朝鮮は中国との関係強化も模索している。中国は、北朝鮮にとって主要な同盟国であり経済的生命線であるが、米国との間では貿易、テクノロジー、地域での影響力をめぐって戦略的対立が高まっている。

ロシアと中国はどちらも拒否権を行使できる国連安全保障理事会常任理事国であり、ミサイル発射実験をめぐって北朝鮮への国連制裁を強化しようとする米国やその他の国による試みを繰り返し阻止してきた。

党総会では、苦境にある北朝鮮経済を改善するための国家的取り組みについても議論された。パンデミック関連の国境封鎖によってさらに経済への負荷がかかっていると専門家は指摘している。

朝鮮中央通信は、農業生産高の向上と金属・化学工業の生産回復に向けた取り組みにある程度の進展が見られるとしつつ、欠点があることも認めたが、具体的に何が欠点なのかは明らかにしなかった。また、首都平壌(ピョンヤン)に数万戸の住宅を新たに建設するプロジェクトに言及し、建設分野でも進展が見られると主張した。

世界有数の秘密主義国家である北朝鮮による主張の真偽を検証することは事実上不可能だ。北朝鮮ではパンデミックが引き起こした苦境にもかかわらず社会不安や飢饉の兆候は見られず、2600万人の国民を金総書記が絶対的に支配している状況に変化はないと専門家は指摘する。

AP

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