
財務省は12日、税関による2019年の不正薬物の押収量が前年比約2.2倍の約3318キロとなり、過去最高に達したと発表した。押収量が3トンを超えたのは初めて。「不正薬物の流入は極めて深刻」(幹部)で、新たな検査機器の導入や他国との情報交換などにより、取り締まりを一層強化する。
不正薬物のうち、大半を占める覚せい剤の押収量は約2570キロ、摘発件数は425件でいずれも過去最高。一度に約1トンに上る大規模な密輸事案などが発覚し、増加につながった。摘発件数のうち、タイやマレーシアなどアジアからが204件と全体の48%を占めた。
財務省では、覚せい剤の末端価格が高い日本は「(密輸組織の)大きなマーケットになっている」(同)と警戒を強めている。
財務省関税局は12日、全国漁業協同組合連合会と密輸防止に関する協力の覚書を交わした。洋上での不正薬物の取り締まりなど水際対策に向け、官民一体で対策を推進する。
また同時に発表された金地金の密輸については、摘発件数は前年比94%減。押収量は84%減と大きく減少した。緊急対策の策定や罰則の強化が功を奏した。
時事通信社