
ニューデリー: 岸田文雄首相は9日午前(日本時間同日午後)、インドのニューデリーで開幕した20カ国・地域首脳会議(G20サミット)に出席し、ウクライナ侵攻を続けるロシアを重ねて非難した。新興・途上国「グローバルサウス」を中心に影響が広がる食料安全保障やエネルギー価格高騰に関し「世界経済の混乱は深刻化している。G20として対処する必要がある」と訴えた。
首相は5月の先進7カ国首脳会議(G7広島サミット)で、招待した新興・途上国首脳と共同で食料安保に関する声明を出したことに言及。ロシアに対し、黒海を通じたウクライナ産穀物の輸出に関する合意に復帰するよう求めた。
東京電力福島第1原発からの処理水海洋放出については、先にインドネシアで行われた東南アジア諸国連合(ASEAN)関連首脳会議に続き、「一部の国が突出した行動を取っている」と中国を批判した。科学的観点から問題は生じていないとして、安全性に万全を期して国際社会に説明を続ける姿勢を強調した。
ロシアの侵攻に関し「G20の協力の基盤を揺るがしている。国際社会が一致して明確なメッセージを発する必要がある」と危機感を表明。「一日も早くロシアが部隊を撤退させ、公正、永続的な平和を実現することが重要だ」と述べるとともに「ロシアによる核の威嚇、ましてや使用はあってはならない」とけん制した。
時事通信