
森雅子法相は21日の法制審議会(法相の諮問機関)総会で、保釈中の被告人や実刑確定者らの逃亡を防止する法整備を諮問した。日産自動車前会長カルロス・ゴーン被告の逃亡などを受け、刑法の「逃走罪」の適用範囲拡大などを想定。全地球測位システム(GPS)の活用も議論される見込みだ。
現行法の逃走罪は、刑務所などで身柄を拘束されている受刑者らが脱走した場合が対象で、ゴーン被告のように保釈中は適用されない。法制審ではこうしたケースに逃走罪を適用可能とすることの是非について議論する。
保釈する際にGPSを搭載した機器を被告人に装着させ、行動を監視する手法も議論される見通しだ。諸外国の事例も参考に、導入した際のプライバシーの確保や監視態勢の在り方についても検討する。
近年、保釈は積極的に行われる傾向にあり、法務省によると、勾留された被告人のうち保釈が許可された割合は、2009年が15.6%だったのに対し、18年は32.1%と倍増。ただ、保釈後の逃亡事件も少なくなく、昨年は神奈川県や大阪府でこうした事件が続発した。
一方、森氏は民事裁判のIT化に向けた民事訴訟法改正も諮問。訴状や判決文などの書面をオンラインでやりとりできるようにするほか、口頭弁論もインターネットを利用したウェブ会議で行えるようにし、手続きの手間を省く。22年中の国会提出を目指す。
時事通信社