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トルコ当局、未登録のシリア人にイスタンブールからの退去を警告

2019年8月6日、イスタンブールのエセンユルト地区にて、シリア難民が自主的に隣国シリアに戻るバスに乗り込む中、別れを惜しむ家族や友人たち。(AFP)
2019年8月6日、イスタンブールのエセンユルト地区にて、シリア難民が自主的に隣国シリアに戻るバスに乗り込む中、別れを惜しむ家族や友人たち。(AFP)
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24 Sep 2023 12:09:20 GMT9
24 Sep 2023 12:09:20 GMT9
  • 政府は「現在の調和政策が成果を上げていないため、新たな戦略」を必要としているとアナリストは述べた

メネクセ・トキャイ

アンカラ:トルコでの反移民感情の高まりを背景に、トルコ内務省はイスタンブールに住む未登録のシリア人に対し、9月24日日曜日までにイスタンブールを離れなければ、「厳しい制裁」を受けることになると指示した。

以前にトルコの他の県で登録したシリア人は、元の登録地に戻る必要がある。

ここ数カ月、トルコ当局はイスタンブールでの不法移民の取り締まりを強化している。イスタンブールは現在、トルコのどの都市よりも多い50万人以上のシリア難民を受け入れている。難民の多くはイスタンブール以外の場所で登録されたが、雇用を求めてイスタンブールにやってきた。

2月の壊滅的な地震の後、登録された県を逃れ、その後イスタンブールへの旅行許可を得たシリア人は、同省の命令から除外されている。

ドイツ国際安全保障問題研究所のトルコ応用研究センターのアソシエイトであるシネム・アダール氏は、過去にも同様の制限措置が取られてきたと指摘した。

「2019年、内務省はイスタンブールで登録されていないシリア難民に対し、最初に登録された地区に戻るように指示した」とアダール氏はアラブニュースに語った。 「4年経った今、同様の措置が実施されているということは、以前の取り組みが成功しなかったことを示している」

9月14日現在、トルコには一時保護許可証を持つシリア人が約320万人おり、前月の数字からは1万9100人減少している。

アダール氏によれば、世論の圧力と独自の政策により、トルコ政府は少なくとも一部のシリア難民をできるだけ早く本国に送還したいと考えている。

「トルコ政府はシリア北部に安全地帯を作り出そうとしており、同時にシリアのバッシャール・アサド政権との和解を進めようとしている」とアダール氏は言う。

トルコのレジェップ・エルドアン大統領は、5月の選挙に先立ち、100万人のシリア難民を本国に送還すると約束した。エルドアン大統領はまた、今後3年間でトルコ軍が駐留しているシリア北西部に、カタールが資金を提供する新しい住宅、農業、産業プロジェクトを開発し、トルコからのシリア難民の再定住を可能にする計画を発表した。

「アレッポ・モデル」と呼ばれるこのイニシアチブは、シリアと国境を接するトルコの各県の企業がシリアの安全地帯内で商業活動を行うことを奨励し、それによって地元住民の雇用機会を創出するものでもある。しかし、トルコとシリアの間の和解プロセスが長引いているため、進展は依然として遅いままだ。

アンカラを拠点とするシンクタンクTEPAVの移民政策アナリストであるオマル・カドコイ氏はアラブ・ニュースに対し、次のように語った。「残念ながら、シリア人の運命は手続きの恣意性に依存している。登録されたシリア人が(最初に登録された)県以外の県にいるという事実だけでは、国内法でも国際法でも、国外追放の十分な理由にはならない。しかし、当局は、登録された県以外の場所にいることを、公衆への脅威であるなどの他の活動に恣意的に結びつけることができ、それによって国外追放が法的手続きとして認められる可能性がある。したがって、逮捕されたシリア人は、判決に不服を申し立てるのに、法の支配ではなく運に頼ることになる」

公式統計によると、約55万4000人のシリア難民が自主帰還したとなっているが、アダール氏によれば、難民が「自主」帰還の申請を迫られたという疑惑や、強制送還が増加しているという報告もあるため、彼ら全員が本当に帰還を選択したかどうかを見極めるのは難しいという。「強制送還が含まれている可能性がある」とアダール氏は述べた。

経済危機が続く中、多くのトルコ国民が国内にいる多くの難民に対する憤りを募らせており、2024年3月の統一地方選挙を前に、シリア難民はナショナリストの政治キャンペーンによって再びスケープゴート(不満をそらすためのターゲット)にされようとしている。ソーシャルメディアサイトXでは、「Gitmeliler(彼らは去るべきだ)」がトレンドになっている。

アナリストのカドコイ氏によると、これは繰り返し起こる現象だという。同様の出来事は2019年の統一地方選挙の前にも起こったとカドコイ氏は指摘する。

「国民は、異例の金融政策、パンデミック、そして最近の地震が経済に与えた影響の下で生きており、経済的苦境をシリア人のせいにしている」とカドコイ氏は述べた。

そのような状況に対し、政府は「迅速な解決策としてシリア人に対する措置を強化している。これは不十分で、持続不可能だ」とカドコイ氏は続けた。

「地方選挙は半年後に迫っている。他の県でも同様の措置が取られる可能性がある。このような措置は短期的な解決策に過ぎない」

カドコイ氏は、政府は「現在の調和政策が成果を上げていないため、新たな戦略について真剣に議論し、取り組む必要がある」と述べた。

「これが特に重要なのは、シリアでの政治的移行がなければ、大規模な自主帰還の見通しはかなり低いためだ」とカドコイ氏は付け加えた。

アダール氏は、与党・公正発展党(AKP)が、トルコのアラブ系住民との調和を保ちつつ、難民の一部をシリアに帰還させることで社会の不満に対処しようとすることで微妙な綱渡りを演じていることを強調した。

トルコでは最近、複数のトルコ人ジャーナリストや国民が、ソーシャルメディアへの反難民的な投稿で憎悪やヘイトスピーチを扇動したとして拘束された。23日の朝には、3人のジャーナリストが逮捕された。

「シリア難民に対する措置を強化すると同時に、反難民の意見を罰することは、さまざまな関心に訴えることを目的とした戦略だ」とアダール氏は指摘する。

トルコ北東部の都市トラブゾンでクウェート人観光客のモハメッド・アル・アジミさんがひどい暴行を受け、4本の歯を折られ昏睡状態に陥った最近の事件は、シリア難民の流入による国内の反アラブ感情の高まりを思い起こさせるものだった。

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