
ベイルート:レバノン軍は6日、レバノン北部の都市トリポリの沖合にあたる地中海で移民船に技術的な問題が生じたため、船から100人以上の移民を救助したとレバノン国営通信が報じた。この事故による負傷者はなかった。
同通信社によると、125人(1人のレバノン人を除いて全員シリア人)が乗っていた移民船は、レバノン領海にあるパーム諸島付近で問題が発生し、救助を求めたという。船はトリポリの港に曳航され、一部の移民は応急処置を受けたとしている。
レバノン軍は声明を発表し、移民には女性8人と子供24人が含まれていたことを明らかにした。
レバノンは長年、この地域出身の難民に関して純受け入れ国となっていたが、2019年10月にこの小さな国で経済破綻が起き始めて以来、数千人におよぶレバノン人、シリア人、パレスチナ人が安定や機会を求めて欧州を目指し、地中海を渡るという危険な旅を試みてきた。
レバノンには国連登録されたシリア人難民が約805,000人いるが、実際の人数は150万人から200万人と当局では推定している。また、同国では数万人のパレスチナ難民とその子供らも暮らしており、その多くは国内各地に点在する12か所の難民キャンプで生活している。
この数か月、内戦で疲弊し悪化を続ける国内の経済状況から逃れようと、数千人のシリア国民が、違法な越境地点を通じてレバノンに入国している。
8月には、レバノン北部で密航業者が移民を地中海経由で欧州へ船で輸送しようとしていたところをレバノン軍が発見し、数十人のレバノン人とシリア人が拘束された。
昨年9月には、レバノンからの移民を乗せた船がシリア沖で転覆し、移民絡みの死亡事故としては過去最悪となる、少なくとも94人が命を落とした。その後、密航業者とされる容疑者が次々と逮捕された。
AP