


チュニス:イスラエルとパレスチナの武装組織ハマスによるガザでの戦闘が地域に衝撃を与える中、世界の他の場所、特にスーダンでの戦争は完全に見過ごされようとしている。
スーダン軍(SAF)と準軍事組織「即応支援部隊」(RSF)の紛争は、6カ月以上にわたってスーダン全土で激化し、大量の避難民、食糧や医薬品の不足、さらには民族浄化にまで発展している。
サウジアラビアとアメリカは、ここ数カ月で数回の停戦が決裂した後、反目し合う当事者間の和解を成立させるため、ジェッダでの共同努力を再開した。しかし、この紛争は、このより広い地域の特徴である脆弱な国境と不安定さによって複雑化している。
専門家によれば、スーダンにはアフリカのサヘル地域(北はサハラ砂漠、南はサバンナと熱帯雨林に挟まれた地帯で、西はマリから東はスーダンに至るアフリカ12カ国にまたがる)全域から戦闘員が引き寄せられているという。
このような若者の流入は、その多くが他の紛争や自国での生活基盤の喪失によって自暴自棄に追い込まれた結果であり、アフリカ大陸、中東、そしてそれ以外の地域の安全保障の力学に重大な影響を及ぼす可能性がある。
「これらの勢力は大義のためではなく、単に給料のために戦っている。つまり、彼らは民間人の生命や財産を考慮していないということだ」とワシントンに本拠を置く戦略国際問題研究所アフリカプログラム上級研究員のキャメロン・ハドソン氏はアラブニュースに語った。
約1億3500万人が住むサヘル地域は、ステップ気候で、季節的な降雨と干ばつに見舞われやすいという特徴がある。鉱物資源は豊富だが、指導者の欠如、汚職、地政学的要因などから、極度の貧困に悩まされている。
マリ、ブルキナ・ファソ、そして最近ではニジェールで軍事クーデターが相次ぎ、ダーイシュやアルカイダと関係のあるイスラム過激派組織による長期にわたる反乱と相まって、さらなる不安定化を招いている。
地域経済が、急成長する若者の人口に対する雇用を創出できる状況にないため、サヘル地域は、地域に蔓延する暴力、小火器の拡散、暴力的な過激主義はいうまでもなく、数多くの紛争に対応するために、意思のあるなしにかかわらず、ますます新兵の供給源となっている。
事例証拠によれば、チャド、中央アフリカ共和国、リビア、スーダンのダルフール地域から多くの戦闘員がRSFの隊列に加わるために、荒廃したスーダンの首都ハルツームに集結している。
11月4日、RSFは西ダルフールの州都ジュナイナの軍司令部を掌握したと主張した。同組織は現在、ダルフールで強い影響力を行使しており、10月26日にはスーダン第2の都市ニャラを、10月30日にはザリンゲイの陸軍基地を掌握している。
同じ頃、RSFは西コルドファン州のバリラ油田の空港を掌握した。RSFは、ハルツームの南に位置するジャジラ州や、はるか南東部の青ナイル州にも影響力を持つ。
領土、資源、新兵を訓練する場所を獲得することは、RSFを強化することになる。しかし、同組織の支配力をさらに全国に広げるためには、さらなる人員が必要となる。
「準軍事組織は明らかに、まだ戦闘が起こっておらず、同組織の支配下にない地域に紛争の範囲を広げようとしている」「そのためには、さらなる兵力と武器の流入が必要となる」とハドソン氏は言う。
スーダンは、同国の事実上の軍事支配者であるアブドゥルファッターフ・ブルハン・アブドゥルラフマーン・ブルハン主権評議会議長率いるSAFと、その副官でライバルでもあるモハメド・ハムダン・ダガロ (通称ヘメッティ)率いるRSFの間で4月15日に戦闘が勃発して以来、内紛の渦中にある。
非営利団体Armed Conflict Location and Event Data Project(ACLED)によれば、この紛争によって現在までに9000人以上の命が奪われている。
民間人がこの危機の矢面に立たされており、その多くが銃撃戦に巻き込まれ、民族差別の標的にされ、強奪され、レイプされ、食糧不足や医療支援へのアクセス不足の結果、死亡している。双方が相手側の虐待や人道的アクセスの妨害を非難している。
国連難民高等弁務官事務所(UNHCR)によると、紛争が始まって以来、約600万人が国内および国境を越えて近隣のエジプト、チャド、南スーダン、エチオピアに強制的に避難させられている。
RSFは、国家が支援する民兵、地元の武装組織、外国の傭兵からなる複雑な連合部隊である。その中核はスーダン西部のアラブ人遊牧民で構成され、サヘル地域やサハラ地域のチャド系アラブ人や非アラブ人の補助兵が加わっている。
スーダンのはるか西部からは、RSFと連携するタマズジ(第三戦線)などが参戦している。主にダルフールとコルドファンのアラブ人で構成されるタマズジの明言化された目的は、社会的疎外感に終止符を打つことである。
しかし、この荒々しい部族連合は、古くから地元のアラブ部族が権力や資源の所有権をめぐってしばしば対立してきたため、団結にはほど遠い。
イデオロギー的には、「RSFには明確で統一的な政治計画が欠けている」と、スーダンの作家で政治アナリストのリーム・アバス氏はアラブニュースに語った。
「動機は民族的な不満から政権交代への願望まで様々で、モハメド・ハムダン・ダガロ氏のカリスマ的指導力に惹かれる戦闘員もいる。また、傭兵以外に生活の糧がなく、必要に迫られて戦う者もいる」
現在、戦闘員の流れは西から東へとスーダンの都市中心部に向かって移動しているが、RSFの軍事活動がスーダン中部で停滞すれば、この流れは変わる可能性がある。起こりうるシナリオのひとつは、戦闘員が各々の村に戻り、部族間の紛争や過激化が進むことだ。
「スーダンは、何千人もの失業した傭兵が国内に取り残され、自分たちの生活を維持するために住民を食い物にするという見通しに直面することになる」「このような軍閥主義への回帰は、スーダンの周辺地域を今後何年にもわたって紛争に巻き込む可能性がある」とハドソン氏は言う。
このような結末は、RSFがその資源を使い果たすにつれて、ますます可能性が高まっているようだ。
「RSFは、この長引く紛争で、すでに武器、兵器、装甲車両、上級将校、よく訓練された兵士などの重大な損失を被っているようだ」と、スーダンのオムドゥルマン・イスラム大学で安全保障学を教えるオサマ・アフメド・イドルス・アフメド教授はアラブニュースに語った。
「採用活動は勢いを増しているかもしれないが、RSFがかつての勢いを取り戻せるかどうかは疑問だ。むしろ、戦争はスーダンにとって長期化する破壊のサイクルへと変貌し、RSFに有利な明確な結果は見られなかった」
「RSFの活動を停止させ、さらなる被害を防ぎ、新たな戦争犯罪の遂行に終止符を打つことが急務である」
金銭的なインセンティブによる外国人新兵の急増は、RSF自体の破滅の種をまきかねない。イデオロギーの統一を欠き、配当も減少している異質な集団は、簡単に分裂する可能性がある。
アフメド教授は、外国人勢は自分たちの利益を増進させるためにこうした分裂を利用し、「RSF内の派閥争いや内紛に寄与する」可能性が高いと考えている。
最近の「ウォール・ストリート・ジャーナル」紙の報道によると、トルコ製のバイラクターTB2無人航空機が隣国からSAFに届けられ、SAFの兵士たちは無人航空機の取り扱いを向上させるために国外で訓練を受けているという。
ACLEDによると、8月下旬以降、ハルツーム周辺のRSFの施設や武器倉庫が軍の空爆によって大きな被害を受けたという。
一方、SAFは同軍の採用問題に直面している。アル・ブルハン司令官は、戦争の流れを変えるため、スーダンの若者たちに「内外の脅威に対抗するため」軍隊に加わるよう呼びかけている。
国際舞台においては、同司令官はエジプト、南スーダン、カタール、エリトリア、トルコ、ウガンダを訪問し、9月にはニューヨークでの国連総会で支持を呼びかけた。
スーダンが最近、イランとの外交関係の更新を発表したことは、ある・ブルハン司令官の支配の正当性に対する懸念が根強い中、同司令官が資源と武器を求めていることを浮き彫りにしている。
しかし、ガザでの戦争とそれに付随する人道危機が国際的な関心を集めている限り、スーダンの交戦勢力への資金、武器、戦闘員の流れを止めようというアピールは聞き入れられず、将来的に深刻な結果を招く可能性がある。