
国連児童基金(ユニセフ)の事務局長は15日、自身が戦禍のガザ地区を訪問した際に目撃した「壊滅的な」光景を非難し、紛争当事者に対し「この恐怖を止める」よう求めた。
ユニセフのキャサリン・ラッセル事務局長は、ガザ地区南部の病院などを訪問した後に出した声明の中で次のように述べた。「私が見聞きしたことは、悲惨なものでした。子どもたちは、度重なる爆撃、喪失、避難に耐えています。ガザの100万人の子どもにとって、安全な場所はどこにもありません」
国連と赤十字も警告を発し、同地区にいる何千人もの患者と民間人の保護を要求した。
国連のマーティン・グリフィス事務次長(人道問題担当)はX(旧ツイッター)に次のように投稿した。「ガザのアル・シファ病院に対し軍事作戦が開始されたとの報道に愕然としている」
「新生児、患者、医療スタッフ、そして全ての民間人の保護は、他の全ての懸念よりも優先されなければならない」
「病院は戦場ではない」
世界保健機関(WHO)のテドロス・アダノム・ゲブレイェソス事務局長もこれに同意した。
同局長はXに、「アル・シファ病院に対し軍事侵攻が開始されたとの報告は深く懸念される」と投稿し、WHOが「病院の医療スタッフと再び連絡が取れなくなった」と警告した。
「彼らや患者の安全を非常に心配している」
赤十字国際委員会(ICRC)は声明の中で、「病人、負傷者、医療スタッフ、民間人への影響を非常に懸念している」と述べた。
また、「彼らへの影響を避けるためのあらゆる手段を講じなければならない」としたうえで、「患者、医療スタッフ、民間人は常に保護されなければならない 」と主張した。
さらに、ICRCは「全ての関係当局と連絡を取り合っており、状況を注視し続けている」と付け加えた。
パレスチナ過激派組織ハマスによる前例のない越境攻撃を受け、イスラエルは同組織の粉砕を誓った。イスラエルによると、この攻撃によって1200人が死亡し、239人が人質に取られた。
ハマスが運営するガザ保健省によると、その後のイスラエルによる空爆と地上攻撃で1万1320人(その大半が民間人)が死亡し、そのうち数千人は子供である。
アル・シファ病院はイスラエルの作戦における重要な標的となっている。
国連の推定では、患者や病院スタッフ、避難住民ら少なくとも2300人が院内に残っており、激しい戦闘のせいで退避できずにいるとみられる。
目撃者は同病院内の恐ろしい状況を証言している。麻酔なしで医療処置が行われ、乏しい食料や水しかない中で家族らは廊下で生活し、腐敗した遺体の悪臭が空気中に充満しているという。
各報道機関