東京:日本の宇宙機関の科学者は12日、昨年火星探査を開始した米国と中国に先駆け、火星の起源や生命体の痕跡を見つけるために、火星地域から土壌サンプルを持ち帰る計画を発表した。
宇宙航空研究開発機構(JAXA)は、2024年に探査機を打ち上げ、火星の月である「フォボス」に着陸させ、10グラム(0.35オンス)の土壌を採取し、2029年に地球に持ち帰ることを計画している。
プロジェクトマネージャーの川勝康弘氏はオンラインの記者会見で、この迅速な往復の旅は、開始時期の遅さを乗り越え、火星圏からのサンプルの持ち帰りにおいて、日本が米国や中国を先行することが期待されると述べた。
NASAの探査ローバー「パーサヴィアランス」は火星のクレーターに着陸し、31個のサンプルを収集、早ければ2031年に欧州宇宙機関の協力を得て地球に持ち帰ることになっている。中国は5月に火星に探査機を着陸、運用した2番目の国となり、2030年頃にサンプルを持ち帰る予定。
JAXAの科学者たちは、フォボスの表面の土の約0.1%が火星から来たものだと考えており、10グラムの中には、土の硬さにもよるが約30個の顆粒が含まれていると川勝氏は述べている。
宇宙科学研究所の碓井智博教授は、フォボスの土壌は、月自体の物質と、砂嵐によって広がった火星の物質が混ざったものである可能性が高いと述べている。フォボスの複数の場所からサンプルを採取すれば、火星の一カ所から土壌を採取するよりも、火星からの生命体の痕跡を得られる可能性が高くなるという。
JAXAの科学者によると、火星から来たかもしれない生命体は、フォボスの過酷な太陽・宇宙放射線のために死滅しているという。NASAと欧州宇宙機関のミッションは、古代の湖と考えられているジェゼロ・クレーターのエリアの潜在的な生命体の確認とその進化に焦点を当てている。
火星からの物質を含むフォボスの土壌サンプルを研究することで、科学者たちは火星の生物圏の進化について学びたいと考えている、と臼井氏は語った。
彼は、フォボスに関する日本の研究と、NASAが火星のクレーターの特定の場所から採取したサンプルは、お互いに補完し合うことができ、もし火星の生命が存在するならば、時間と場所の中でどのように出現し、進化していったのかといった疑問に対する答えにつながる可能性があると述べている。
昨年12月、JAXAの探査機「はやぶさ2」は、地球から3億キロ以上離れた小惑星「リュウグウ」から5グラム(0.19オンス)以上の土壌を持ち帰り、世界で初めて小惑星のサンプルの持ち帰りに成功した。
AP