
ベイルート: 22日、ガザ地区でのイスラエルとハマスの戦闘休止宣言が出される数時間前、過激派組織ヒズボラがイスラエル軍の陣地に向けてブルカン・ミサイルを発射したことから、レバノン南部国境での敵対行為が再燃した。
イスラエル軍も応戦し、レバノンのヒズボラを標的にリン爆弾を投下したことから、カフル・キラとエルアディサの町の間で火災が発生した。
ヒズボラは、イスラエルのイフタ兵舎とバヤド・ブリダの拠点で保守点検作業を行っていた後方支援部隊を攻撃し、イスラエル軍のラヘブの拠点とザリット兵舎の兵士と車両、並びにレメイシュの町近くのミタット兵舎に向けてブルカン・ミサイルを発射したと発表した。
レバノン独立80周年を記念し、フランス統治時代に独立運動の英雄たちが収容されていたベッカー県西部のラシャヤ城を訪問していたナジーブ・ミカティ暫定首相は、スピーチで軍の役割と公正さを支持するよう呼びかけ、「われわれは平和を望み、平和の文化を愛する国民であるが、われわれの主権の侵害と権利に対する攻撃は受け入れないし、これからも受け入れるつもりはない。そうでなければ、独立の意味とはいったい何なのか」と述べ、国際社会に対し、イスラエルの侵略行為やあからさまな国際条約や決議、人権に対する違反、そして虐殺や大量殺戮の継続を止めさせるよう呼びかけた。
ベイルートでハマスのアラブ・イスラム渉外担当のハリル・アルハイヤ氏とヒズボラのハッサン・ナスララ書記長との会談が行われるのに合わせ、レバノンの要人らとの会談のため、22日ベイルートを訪問したイランのホセイン・アミール・アブドラヒアン外相は、ガザとパレスチナの運命は「パレスチナ人が決めることだ」と発言した。
独立記念日を祝い、首都ベイルートと一部の地域ではレバノン国旗が掲げられた。ベイルートの建物には、ガザ地区での紛争へのレバノンの関与に反対する市民活動の一環として「レバノンは過去の出来事を繰り返さないために、戦争回避に努める」と書かれた大きな横断幕が掲げられた。
レバノン軍と治安当局は大統領不在を理由に、恒例の軍事パレードを実施しなかった。
また一方でレバノン国民は、22日にレバノン国境付近で起きたイスラエル軍の無人機による攻撃で死亡したジャーナリストのファラ・オマル氏とフォトジャーナリストのラベア・マアマリ氏の死を悼んだ。
レバノンに駐在するEU代表部ならびにその加盟国の大使館らは声明で、「今年のレバノンの独立記念日は、困難な地域情勢の中で迎えることとなった」と述べ、「状況がさらに悪化することを避けるため、すべての関係当事者に対し最大限自制するよう」あらためて呼びかけた。
エルヴ・マグロ駐レバノンフランス大使はこの独立記念日にあたり、「レバノンが直面する課題に向き合う中で、統一され、かつ開かれた主権国家となる 」ことを期待していると述べた。