
カイロ:イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は武装組織ハマスとの闘いを継続すると明言し、他方、ガザ地区の保健当局はイスラエルの空爆により一晩で100人以上が殺害されたと述べ、パレスチナ人たちは同胞たちの死を悼んだ。
ネタニヤフ首相は、ガザ地区北部のイスラエル軍部隊を訪問した。11週間継続しているイスラエルとハマスの戦闘で、包囲されたガザ地区で最大級に激烈な夜間戦闘が終了して数時間後の事だった。
10月7日に境界線を越えて凄惨な襲撃を行ったハマスへの報復を行っているイスラエルは、最大の支持者である米国からガザ地区での作戦を低強度の段階へと切り替えて民間人死亡者数を減少させるよう圧力を受けている。
しかし、ネタニヤフ首相は、戦争は終結には程遠いと自身の率いるリクード党の議員たちに語り、政府が戦闘の停止を呼びかけるかもしれないというメディア報道の憶測を否定した。ネタニヤフ首相は、軍事的圧力無しにイスラエルは残りの人質を解放させ得ないだろうと述べたのだった。
「私たちは戦いを終結しません。戦争は最後まで、私たちが終わらせるまで続き、それ以前に終結することはありません」と、国際的な停戦要請に抗ってきたネタニヤフ首相はガザ地区への訪問中に語った。
ガザ地区の中心部に位置するマガジへの空爆の犠牲となったとパレスチナの保健当局が発表した70人以上の葬儀では、パレスチナ人弔問客の列が遺体に巻かれた白い布に触れて彼らを追悼した。
イブラヒム・ユセフ氏は、彼の妻と生後4か月の乳児を含む4人の子供がマガジで滞在していた家屋の瓦礫の下敷きになってしまったと語った。
「妻と子供たちが何か悪い事をしたというのでしょうか?」と、ユセフ氏は言った。「ここにレジスタンスの戦闘員がいたというのでしょうか?」
真夜中の数時間前に開始された空爆は、12月25日まで継続した。パレスチナの報道メディアは、イスラエルがガザ地区中心部への空爆と地上砲撃をさらに激化させたと報じた。
ガザ地区の保健省報道官のアシュラフ・アルチドラ氏は、マガジでの犠牲者の多くは女性と子供だったと述べた。
同保健省職員たちによると、イスラエル軍の航空機や戦車が近傍のアルブレイジやアルヌセイラットの家屋や道路を攻撃し、他に8人が死亡したという。
医療関係者たちは、ガザ地区南部のハーン・ユーニスに対するイスラエル軍の空爆で23人が死亡し、パレスチナ人の一晩での死者総数が100人を超えたと語った。
教皇フランシスコは、ガザ地区を初めとする戦争で亡くなった子供たちは「現代の小さなイエス・キリストたち」であり、イスラエルの空爆は罪の無い民間人を対象として「ぞっとするような成果」を上げていると、クリスマスメッセージで述べた。
イスラエル軍は、マガジ攻撃についてはその報告書を精査中であり、民間人の被害を最小限とするよう尽力していると述べた。イスラエル側はハマスが人口密集地で活動することで民間人を人間の盾として利用していると主張している。ハマス側はこのイスラエルの主張を否定している。
ベツレヘムでのクリスマス行事が中止に
キリスト教の聖職者たちは、イスラエル占領下のパレスチナヨルダン川西岸地区の都市ベツレヘムでのクリスマス行事を中止した。キリスト教の教えでは、イエス・キリストは2,000年前にベツレヘムの馬小屋で誕生したとされている。
ベツレヘムのパレスチナ人キリスト教徒たちは、クリスマスの礼拝を行い、蝋燭を灯し、讃美歌を歌い、ガザ地区の平和を祈った。
ベツレヘムでのクリスマス行事では例年名物的存在となる大きなツリーは今年は設置されなかった。ガザ地区の人々との連帯を示すために、ベツレヘム内の教会のキリスト聖誕の置物は瓦礫や有刺鉄線の只中に置かれた。
ガザ地区では、共にイスラエルを壊滅させることを誓っている武装組織ハマスとより小規模な武闘派の同盟組織であるイスラム戦線は、10月7日にイスラエル側の集落に対して行った襲撃により1,200人を殺害した。その際に拉致した240人の内、依然として100人以上が人質として拘束されていると考えられている。
それ以来、イスラエルは狭小なガザ地区の大部分を壊滅させ廃墟としてきた。ハマスの支配下にあるガザ地区当局によると、直近の250人を含む27,000人近くのガザ地区住民が死亡しているという。
ガザ地区の人口230万人の大多数が自宅からの退避を余儀なくされており、国連は人道的に最悪な状況にあると述べている。
イスラエル軍は、12月25日、その前日に兵士2人が死亡し、10月20日の地上作戦開始以来の死亡者数の合計は158人となったと発表した。
このイスラエル軍の発表とは別に、12月25日、シリアの首都ダマスカス郊外を対象としたイスラエルによる空爆があり、イラン革命防衛隊の上級顧問が殺害されたとイスラエルの治安関連筋の当局者3人が明かした。
これら治安関連筋によると、サイエド・ラジ・ムーサヴィ氏として知られる顧問は、ガザ地区のハマスを支援するシリアとイランの軍事的提携の調整を担当していたという。
イラン革命防衛隊は、イラン国営テレビにおいて声明を発表し、イスラエルは「この犯罪の代償を支払うことになります」と述べた。
12月23日、イスラエル軍参謀総長は、自軍がガザ地区北部での作戦上の目的をほぼ達成しており、ガザ地区南部での作戦を今後さらに拡大すると述べた。
しかし、ガザ地区の住民たちは、同地区北部では戦闘が激化する一方だと語っている。
ガザ地区で依然として拘束されている残りの人質の解放のための新たな停戦に向けた、エジプトとカタールの仲介による外交努力は、公的にはほとんど成果を上げていない。
ハマスとのその同盟組織であるイスラム聖戦は、恒久的な停戦と引き換えにガザ地区の支配を放棄するというカイロ会談でのエジプトの提案を拒絶したと、エジプトの治安関係者2人が12月23日にロイター通信に語った。
武装組織ハマスは、イスラエル側がガザ地区での戦争を終結しない限り人質解放については一切交渉に応じないと述べている。他方、イスラエル側は戦闘の一時的な停止についてのみ交渉する意思があると表明している。
ロイター通信