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エジプトが同国内でハマスと停戦案を協議する中、イスラエルがガザを空爆

イスラエルとパレスチナの武装組織ハマスの戦闘が続く中、ガザ地区南部のナセル病院で、イスラエル軍による砲撃で大切な人を失い嘆き悲しむ女性。(AFP)
イスラエルとパレスチナの武装組織ハマスの戦闘が続く中、ガザ地区南部のナセル病院で、イスラエル軍による砲撃で大切な人を失い嘆き悲しむ女性。(AFP)
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30 Dec 2023 10:12:31 GMT9
30 Dec 2023 10:12:31 GMT9
  • イスラエルがガザ中心部への攻撃を拡大する中、パレスチナ住民がガザ南部の町に流れ込む
  • イスラエル軍は、過去24時間にガザ全域で「数十人のテロリストを排除」したと発表

ガザ:10月7日の攻撃で戦争が始まってから約12週間が経過した12月29日金曜、エジプトが包囲下にあるパレスチナ自治区の大部分を荒廃させた紛争の終結を目指す協議のため、ハマスの代表団を受け入れる一方で、イスラエルはガザを攻撃した。

ガザ北部の広大な地域が廃墟と化し、ほとんど見捨てられる中、イスラエル軍の空爆と地上戦は中部と南部の地区に焦点を当てており、エジプト国境に近いラファ周辺の混雑した地域へと、これまで以上に多くの避難家族を追い込んでいる。

国連人道事務所によると、ラファでも標的が空爆される中、デイル・アル・バラ中心部と南部最大の都市ハーン・ユーニス周辺での激しい戦闘により、すでに過密状態となっているラファへと避難民約10万人が新たに押し寄せたという。

28日木曜の致命的な空爆後、ラファの住民は瓦礫をかき分けて生存者と遺体を探した。
地元の男性、テイゼール・アブ・アル=エイシュさんは、自宅にいた時に「大きな爆発音が聞こえ、瓦礫が降ってきました。私の娘たちは悲鳴をあげていました」と語った。

寒い冬の間、飢えに耐え、その場しのぎの避難所で寝泊まりするパレスチナ人の悲惨な運命に対する警戒が高まる中で、容赦ない砲撃は民間人に大量の犠牲者を出し、停戦を求める世界的な呼びかけが噴出した。

デイル・アル・バラでは、別の空爆の後、残された母親のスヘア・ナセルさんが双子の遺体を抱きしめて涙を流し、「子どもたちの誕生日である12月28日に家が爆撃され、破片が子どもたちの上に落ちてきました」と泣き叫んだ。

イスラエル軍は、過去24時間にガザ全域で「数十人のテロリストを排除」し、ハマスのガザ指導者ヤヒヤ・シンワールの故郷であるハーン・ユーニスで「作戦を拡大中」だと述べた。

米国と欧州連合(EU)から「テロリスト」集団とみなされているハマスの武装勢力は、10月7日に攻撃を開始し、イスラエル発表に基づくAFP通信の集計によると、民間人を中心に約1140人が死亡した。

また、パレスチナ武装勢力は約250人を人質に取り、その半数以上が戦闘地域内で捕らわれたままであり、そのうち数人は死亡したと考えられている。

ハマス支配下にあるガザ保健省によれば、戦争開始以来、イスラエルの執拗な軍事作戦によって、少なくとも2万1507人が死亡し、大半は女性と子どもであった。

イスラエル軍は、ガザ内で168人の兵士が死亡したと発表している。

ハマスの軍事組織であるエゼディン・アル・カッサム旅団は29日金曜、イスラエル南部に向けて新たに連続してロケット弾を発射したと発表した。

ガザでは、長年にわたる破壊的な封鎖に加え、10月7日以降はイスラエルによる包囲網が敷かれ、240万人が食料、水、燃料、医薬品へのアクセスを奪われた。

国連によれば、ガザ住民の80%以上が家を追われ、その多くがラファ周辺の窮屈な避難所やテントで暮らしているという。

国連パレスチナ難民救済事業機関(UNRWA)は、同組織が運営する施設に避難しようとした308人が殺されたと発表した。

国連人道問題責任者のマーティン・グリフィス氏は、現状を「ガザの人々にとっても、彼らを助けようとする人々にとっても不可能な状況」だと嘆いた。

彼は29日金曜、X(旧ツイッター)に「ガザに援助を届けるのが簡単だと思いますか?考え直してください」と投稿した。

UNRWAによれば、国連の援助物資輸送団がイスラエル軍の銃撃を受けたが、死傷者は出なかったという。

深刻な物資不足は、主にエジプト経由で入ってくる人道支援物資の輸送団により散発的に緩和されることがあるのみだ。

29日金曜には、肉、卵、果物を含む生鮮食料品のトラック1台分がラファの市場に到着し、少しばかりの安堵感をもたらした。

「卵と果物数種類がエジプトからガザに入ったのは、今回が初めてです」 と、売り手のムンタセル・アル・シャールさんは話した。

「あらゆる種類の果物が市場からなくなっています。野菜は何種類かありますが、とても高価です」

イスラエルはハマスを壊滅させると繰り返し宣言しているが、エジプトは更新できる停戦合意、パレスチナ人捕虜の時差解放、そして最終的な戦争終結を含む計画を提案している、とハマスに近い情報筋は言う。

匿名を条件にAFP通信の取材に応じたハマス幹部は、エジプトが最近ハマスとイスラム聖戦に提案した計画について、代表団が「いくつかの見解を含むパレスチナ諸派の反応を伝えるだろう」と述べた。

ハマスは、ガザ地区からの「イスラエル軍の完全撤退の保証」を求めるだろうと、その幹部は話した。

戦後のガザに目を向けると、この提案では「パレスチナの全勢力」が参加する協議の後、テクノクラートによるパレスチナ政府を設立することを定めており、その政府がガザ地区の統治と再建に責任を持つことになる。

イスラエルは、エジプトの提案についてまだ正式なコメントを発表していないが、ベンヤミン・ネタニヤフ首相は28日木曜、人質の家族に対し、エジプトの仲介者と「接触中だ」と述べ、「全員を取り戻すために努力している」と約束した。

エジプト国家情報局のディア・ラシュワン局長は、この提案は「パレスチナ人の流血を終わらせることを目的に、全ての関係者の見方をまとめようとしたものだ」と述べた。

テルアビブでは28日木曜、数百人が停戦を求める集会を開いた。

「イスラエル人、パレスチナ人、イスラム教徒、ユダヤ教徒、キリスト教徒―ここは全員の家だ」とデモ参加者の一人である教師のイタイ・エヤルさん(51)は語り、全サイドに「生命、自由、主権、尊厳」の権利があると強調した。

彼は、「10月7日にハマスが犯した残虐行為は決して許されるものではなく、正当化できるものでもない」と述べる一方、「歴史的な背景を見なければ、同じ悲劇を何度も何度も繰り返さざるを得なくなる」とも話した。

占領下にあるヨルダン川西岸地区でも緊張が高まっており、イスラエル軍は、車で突っ込もうとしたとされる攻撃で4人を負傷させたパレスチナ人運転手を射殺した。

ガザ戦争は、イスラエルが宿敵イランや同国と同盟している武装集団と長い間影で戦争を繰り広げてきた中東の他地域においても、暴力を燃え上がらせている。

イスラエル軍は、ガザ戦争が勃発して以来、イランが支援するレバノンのヒズボラと国境を越えた激しい銃撃戦を繰り広げている。

29日金曜、イスラエル軍は、レバノン南部からロケット砲を受けた後、「レバノン南部にあるヒズボラのインフラ施設」を攻撃したと発表した。

米軍によれば、米軍艦は28日木曜、イランが支援するイエメンのフーシ派民兵が発射した無人機と対艦弾道ミサイルを撃墜した。

フーシ派は、ガザ地区のパレスチナ人を支援するためだと言明して、紅海の重要な航路を通る船舶を繰り返し標的にしている。

AFP

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