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イエメン南部が合法的に独立することの必要性

2019年8月15日、イエメン第二の都市、アデンのコール・マクサール地区でデモに参加するイエメン南部分離派の支持者たち。(ナビル・ハサン|AFP)
2019年8月15日、イエメン第二の都市、アデンのコール・マクサール地区でデモに参加するイエメン南部分離派の支持者たち。(ナビル・ハサン|AFP)
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18 Aug 2019 01:08:13 GMT9

先週の恐ろしい状況のもと、私たちはこの地域で新たに深刻な危機に直面していた – 恐らくイエメン南部で10年は続くであろう、現在よりも過激な内戦が突発していたかもしれない。しかし、全関係者の思慮分別のお陰で、この危機を回避できるという素晴らしい瞬間に至ることができた。

少なくとも現時点では危機を回避することができた。これより全関係者がジッダに集結して持続可能な解決案を模索するであろう。南部暫定評議会(STC)はイエメン政府機関の占領から引き揚げ、国連が規定したイエメン政府の正当性を認める声明を発表した。

本当のところは、南部暫定評議会(STC)がサウジアラビアに安心を与え、アラブ首長国連邦の面目を守り、更に最も重要なこととして、自分自身と人々を救済したということだ。イエメン南部の住民とその地域全体が、たとえ正当性があったとしても、こうした動きがもたらす悲惨な結果から救済された。

とは言え、議論はこれからも勿論続く。私は、モハメド・アル=ルマイヒ博士のアッシャルクル・アウサト紙掲載の記事とサード・アル=アジミ博士のインデペンデント・アラビア紙に掲載された現紛争に関する記事を読んだ。一口に言えば(彼らの意見を完全には伝えられないが)、二人ともイエメン南部の独立が最良の解決策だと信じている。

サウジアラビアの識者も、多大な人口を抱えた統一イエメンよりも2つか3つに分かれたイエメンの方がサウジアラビアにとって有益であると信じている。それは、故アリー・アブドッラー・サーレハ大統領体制下の統一イエメンを20年に渡って相手にして、様々な困難や害に直面してきた後ではなお更である。

国家に政治的に干渉することは危険である。常々友人であるクウェートの有識者に言っていることだが、国連承認国を違法であるとしたり解体したりすれば、クウェートを含むその地域の全ての国を危険に陥れることになる。違法な分離を承認することは、違法な併合を承認することと同じである。

私は決して独立を追求する南部の人々の権利に反対しているわけではないし、南部共和国の設立に反対しているわけでもない。しかし、そうした分離は合法的に行われなければならない。それはイエメン政府機関がまた機能するようになってからでもいいし、今なら国連を通してでもよいが、イエメン政府との合意によって行われなければならない。

そうすることにより、権力を奪取することなく、すべての人がそれを国家として認めることができるようになる。多くの人が南部イエメンは既に正統的な国家であると言えば、そしてここ数年は実際にそうであったので、国連の裁判所で離婚を認めてもらうことができるだろう。そうすれば、離婚に反対する国はいないだろうし、もしいたとしても、その立場は評価されないし、南部の人々の権利を否定することは出来ないだろう。

私たちはこれから先いつまでも過去について、或いは以前の状況、歴史的根源について話し合うことができるが、話し合いには何の意味もない。南部の人が皆同じ思いで繋がっていると思っている人はいないし、同じ思いの人が国の名前や指導者、制度に関して一つになっていると思っている人もいない。

政治的指導者たちが人気を勝ち取り、自分たちが統治していることを宣言するために競走をしている。しかし南部には様々な部族や地域的な要素があるし、多くの政治的指導者やサイィド、アシュラフ、スルタン達、それに実業家も加わって、皆が支配することを望んでいる。

今回起きたことは特殊な状況であり、神がイエメンを害悪から救ってくれたのである。この際、関係者がジッダに集まって国内での関係性について合意し、分離に関する話し合いを将来に持ち越すか、あるいはニューヨークでの話し合いに持ち込むようになることを願うばかりである。

アブドゥルラーマン・アル=ラシードは熟練コラムニストで、アル=アラビーヤ国際ニュース衛星放送の元総支配人、及びアッシャルクル・アウサト紙の元編集主任。Twitter: @aalrashed 

 

https://www.arabnews.com/node/1542076

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