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南レバノン戦線における100日間の戦闘、破壊、強制移動、規定違反

2024年1月14日にレバノン側の対戦車ミサイルの標的になったと報じられる、国境に近い北イスラエルのケファル・ユバル入り口に駐留するイスラエル兵士。(AFP)
2024年1月14日にレバノン側の対戦車ミサイルの標的になったと報じられる、国境に近い北イスラエルのケファル・ユバル入り口に駐留するイスラエル兵士。(AFP)
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17 Jan 2024 01:01:25 GMT9
17 Jan 2024 01:01:25 GMT9
  • ガザ地区での戦争が終わらない限り、国境沿いでのヒズボラとイスラエルの敵対行為は止まないと、レバノン当局者は口を揃えて断言する
  • あるオブザーバーは、17年間南レバノンに敷かれてきた交戦規定に両陣営が繰り返し違反した結果、「ゲームのルールが変わる」と述べている

 ナジア・ホウサリ

ベイルート:南レバノンにおけるイスラエル軍とヒズボラの戦闘は月曜日で100日目を迎えるも、当面終結の見込みはない。

この数週間の外交努力にもかかわらず、南レバノン戦線での敵対行為が止むかどうかはガザ地区におけるイスラエルの戦争終結にかかっているとレバノンの当局者は口を揃えて述べた。

「南部国境で100日間続いた陸上・航空作戦の応酬は、主にレバノン国境の村々に大きな被害と破壊をもたらし、経済を麻痺させた」と、あるオブザーバーはアラブニュースに語った。

「これらの村に住む何千人ものレバノン人だけでなく、レバノン戦線における紛争史上初めて、入植地を離れた何十万人ものイスラエル人も移動を余儀なくされている」

イスラエル公共放送協会は月曜日に、イスラエル軍が南レバノンの一部を爆撃したと述べた。その場所からは、アッパー・ガリラヤ地方にあるマタット村の方角に向けてロケットが発射されていた。

ガリラヤの回廊地帯にあるキリヤット・シュモナでサイレンが響いた。ヒズボラはそこで「メトゥラ前哨基地、ザヒーラ前哨基地、バラカ前哨基地、およびマタット前哨基地付近のイスラエル兵の集結地」を含めたイスラエル軍の軍事施設に対して一連の攻撃を実施したと述べた。

イスラエルの砲撃は、アイタルーン、オダイセ、ラブ・アル・サラシン、クファーキラ、ラチャヤ・アル・ファハール、クファルハマムといった国境周辺の村はずれにまで達した。

イスラエル軍のスポークスパーソンであるアビハイ・アドライ氏によると、日曜夜のヒズボラによるクファル・ユバル入植地への攻撃で、ガリラヤの警戒チームのメンバーである48歳男性と、彼の72歳の母親が死亡した。

一方、イスラエルの戦車が国境周辺のアル・アッバシーヤ村の無人の民家に発砲したと報道されている。さらにイスラエル軍はビント・ジベイル地区にあるヤロン村を襲撃した。軍は日曜日に交戦規則に違反したと非難されている。その日軍は2発のミサイルを発射し、ティリスのセディキネとレックナナイの間の谷に着弾した。

イスラエル軍はまた、ジャバル・アル・リハン、ジャバル・サフィ、およびセジュードとムリク村郊外を襲撃した。これらの地域はリタニ川の北に位置し、紛争地帯からは遠く離れている。この攻撃によってジャバル・アル・リハン、ジェジンおよび近隣の村々で停電が発生した。ヒズボラの発表によれば、ハルーフ村出身のヒズボラ戦闘員アリ・フセイン・ハムダンが死亡したという。

イスラエルの戦闘機がジャバル・アル・サフィとその周辺を標的にしたのはこれが5度目である。イスラエルはこの地域がヒズボラの要衝であり、第三防衛線だと考えている。ここには複数のヒズボラ基地、前哨基地、そして武器庫があるといわれる。

オブザーバーは、この100日の間に、17年にわたって南レバノンで適用されてきた交戦規則に紛争の両陣営とも違反したと述べた。

「イスラエル軍は先端技術を活用して複数の交戦規則違反を記録しました。その中で最も悪質なのはハマスの軍事幹部サレハ・アル・アルーリを暗殺しようとして南ベイルート郊外を標的にしたことです」と彼は述べた。

「ヒズボラの作戦は例えばサファド基地やキリヤット・シュモナ入植地など、国境地域からかなり離れた地域にも影響を及ぼしてきました」

「したがって、相手方が自己の利益のため交戦規定を変更したと非難することはどちらの陣営にもできません。双方とも複数の違反を記録しているからです。そしてこの問題の影響が出るのは戦争終結後になるでしょう。なぜなら事態が元通りになることはないからです。ゲームのルールは変わるでしょう」

日曜日の演説で、ヒズボラ書記長ハッサン・ナスララ氏は「米国側がいかなるイスラエルの脅威をレバノンに伝えようとも、(レバノンの)抵抗勢力がパレスチナの抵抗勢力を支援する考えを変える役には立ちません」と再び断言した。

彼は、ヒズボラの作戦を止める事態が起こるとすれば、それはガザ地区における停戦しかないとの見解を再度表明した。

彼はさらに、「ガザ地区の抵抗勢力が拘留する捕虜を取り戻す希望は断たれました。全ての支援勢力の活動を停止させるにはガザ地区での戦争を止めるしかありません」と付け加えた。

南レバノンの情報筋によると、両陣営の語調とレトリックの激しさは地上における軍事行動の激化ぶりをしのぐほどだという。

イスラエルは「ヒズボラがスパイ機器に及ぼした被害を補うために先端技術を利用しています。一方、ヒズボラはブルカンや改良型コルネットミサイルなどの長射程兵器に頼っています」と情報筋は述べており、イスラエル軍は制空権を得る一方、ヒズボラは地上で優位に立っていると付け加えた。

「加えて、攻勢に出ていたヒズボラは最近の攻撃で145人以上の戦闘員を失ったと報告しています」と情報筋は語る。「しかし2006年にイスラエルが軍事行動を起こした時はヒズボラが守勢に回り、その際には245人の犠牲者が出ました」。

また情報筋は、国連レバノン暫定軍(UNIFIL)に対して地元住民が抱く悪感情に言及してこうも述べた。「現在、レバノンの人々はUNIFILに対して憤っています。なぜならUNIFILは報告書を書くばかりで、場合によっては1996年と2006年のイスラエルによる攻撃の時のように、イスラエルに利するスパイになることもあるからです」

「とはいえ、UNIFILと地域住民との関係はすぐに回復するでしょう。なぜなら、UNIFILとの関係を断つことを望む人は誰もいないからです」

一方で情報筋によれば、イスラエル軍は「役割を果たしていないとしてUNIFILを非難しています。また、UNIFILの活動地域には17年前の合意に反して武器が存在しているとも述べています。現在の対立は同時に、イスラエルはUNIFILに対して、一時的に連絡を遮断するほどの憤りを抱いていることを示しています」と述べた。

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