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パレスチナ武装組織ハマス、ガザの戦闘で荒廃した地区で戦闘、一方で人質に医薬品を届ける合意が浮上

2024年1月16日、イスラエルとパレスチナ過激派組織ハマスとの戦闘が続く中、イスラエル軍の砲撃を受けているガザ地区南部のハーン・ユーニス上空で火の手が上がる様子をラファから撮影した写真。(AFP)
2024年1月16日、イスラエルとパレスチナ過激派組織ハマスとの戦闘が続く中、イスラエル軍の砲撃を受けているガザ地区南部のハーン・ユーニス上空で火の手が上がる様子をラファから撮影した写真。(AFP)
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17 Jan 2024 06:01:37 GMT9
17 Jan 2024 06:01:37 GMT9
  • ガザの人道危機は悪化しており、同地区内の230万人のパレスチナ人のうち85%が家を離れ、国連機関は大規模な飢餓と病気の蔓延を警告している
  • イエメンではイランが支援する反体制のフーシ派が、先週の米国主導の攻撃を受けて、紅海における貨物船への攻撃を再開した

ガザ地区ラファ:パレスチナ武装組織ハマスは1月16日、荒廃したガザ北部でイスラエル軍と戦い、南部からは一連のロケット弾を発射して戦闘力を示した。小さな沿岸の飛び地である同地区でイスラエルの大規模な空爆と地上作戦が始まって100日以上が経過した。

イスラエルの攻撃の最初の標的であり地域全体が破壊されたガザ北部での戦闘は、イスラエルが、ハマスの解体と、戦争の発端となった10月7日の攻撃で捕らえられた多数の人質の返還という目標を達成するまで、まだかなり遠いことを示している。

他の動向としては、フランスと、前回の停戦を仲介したアラビア湾岸に位置するカタールが、イスラエルとハマスの間で、ガザにいるイスラエル人の人質に医薬品を届け、包囲された地区内のパレスチナ人に追加援助を提供する取引を仲介したと、16日遅くに発表した。

フランスは、10月からこうした取引に取り組んでおり、慢性疾患を持つ45人の人質に3ヶ月分の医薬品を届けるほか、その他の医薬品やビタミン剤も提供すると述べた。医薬品は、水曜日にエジプトからガザに搬入される予定である。

2024年1月16日、イスラエル南部から撮影された、照明弾を発射しながらガザ地区上空を飛行するイスラエル軍戦闘機。(AP)

これは、11月の1週間の停戦以来、戦争当事者間でなされた初めての合意である。

一方、ガザの人道危機は悪化しており、同地区内の230万人のパレスチナ人のうち85%が家を離れ、国連機関は大規模な飢餓と病気の蔓延を警告している。米国とイスラエルがイランの支援する勢力と中東地域全体で戦闘を行った結果、紛争拡大の恐れもある。

イスラエルは、10月7日のような攻撃が二度と繰り返されないよう、ハマスの軍事力と統治能力を撲滅すると宣言している。ハマスの武装勢力は10月7日、ガザからイスラエルに突入し、民間人を中心に約1200人を殺害、約250人を人質にした。米国からの強力な外交的・軍事的支援を受け、イスラエルは停戦を求める国際的要請に抵抗してきた。

停戦中に人質の半数近くが解放されたが、100人以上が拘束されたままだ。ハマス側は、イスラエルが戦争を終結させるまでは他の人質を解放しないと表明している。

地域全体に広がる攻撃と反撃の応酬
戦争が長引くほど、中東地域全体の他の戦線で戦闘が勃発する恐れが高まる。

イランは15日遅く、イラク北部クルド自治区の中心都市エルビルの広大な米国領事館近くの高級住宅街にあるイスラエルの「スパイ本部」だとする場所に向けてミサイルを発射した。イラクと米国は、数人の民間人死者を出したこの空爆を非難し、イラク政府は抗議のために駐イラン大使を召還した。

イラクとシリアでは、イランが支援する勢力が米軍駐留基地を何十回も攻撃しており、今月初めにはバグダッドで米軍の空爆によりイランが支援する民兵組織の指導者が死亡した。

2024年1月16日、イスラエルと武装組織ハマスとの紛争がガザ地区で続く中、テルアビブで集会を開くイスラエルの反戦・反政府デモ隊。 (AFP)

その他にも、イエメンではイランが支援する反体制のフーシ派が、先週の米国主導の攻撃を受けて、紅海における貨物船への攻撃を再開した。米軍は16日にも攻撃を行った。これとは別に、先週イエメンに向かうイラン製ミサイル部品と武器を積んだ船を急襲した海軍特殊部隊2名が行方不明になっているという。

イスラエルとレバノンの過激派組織ヒズボラは、ガザ戦争が始まって以来、ほぼ毎日国境沿いで砲撃を交わしている。今月イスラエルの空爆によりハマスの副政治指導者がベイルート市内で殺害されて以来、攻撃とそれに対する反撃は激しさを増し、2006年の戦争の再演となるのではないかという懸念が高まっている。

軍事侵攻で荒廃したガザ北部で戦闘を続ける武装勢力
ガザ地区では、イスラエル軍が同地区の北端にある町ベイトラヒヤ地域で、約100基のロケット施設と60発の即使用可能なロケット弾を発見したと発表した。イスラエル軍は、作戦中に数十人の武装勢力を殺害したと述べたが、根拠は示さなかった。

ベイトラヒヤに住むマフムード・アブデル=ガニさんによると、イスラエル軍の空爆は町の東側にある建物数棟に命中したという。

10月のイスラエルによる避難命令を受けて、ガザ市を含むガザ北部から数十万人が避難した。イスラエルは、戦争が始まって数日のうちに北部への水の供給を停止し、何万人もの人々が留まっているにもかかわらず、援助はほとんど搬入を許可されていない。

16日に電話取材に応じた住民は、ガザ市ではここ数週間で最も激しい戦闘の様子を語った。

2024年1月9日、ガザ地区ラファで、イスラエルとパレスチナ人勢力ハマスとの間で戦争が続く中、イスラエル軍の空爆で破壊されたアブ・アワイダ家の瓦礫の中で、壁に描かれた文字の隣に座る同家の隣人ジアド・マンスールさん。(ロイター)

「爆撃が止んだことはありません」とテル・アル=ハワ地区に住むファリス・アブ・アッバスさんは語った。「抵抗組織はここにおり、立ち去りませんでした」

下町にあるシファ病院の近くに住むアユーブ・サードさんは、夜から16日にかけて銃声と砲撃の音が聞こえ、死傷者がカートに乗せられて病院に運ばれてくるのを見たと語った。

数週間にわたってガザ北部で激しい戦闘が続いた後、イスラエル当局は年明けに同地での作戦を縮小すると発表した。南部の都市ハーン・ユーニスや、イスラエル建国をめぐって起こった1948年戦争にさかのぼるガザ中部の難民キャンプに作戦の焦点を移した。

しかし、そこでも激しい抵抗に遭遇している。軍の発表によると、16日には少なくとも25発のロケット弾がイスラエルに向けて発射されたが、ここ1週間以上で最も強力な砲撃の一つであった。イスラエルのチャンネル12テレビは、ロケット弾はガザ中部のブレイジ・キャンプから発射されたと伝えた。

人道危機の拡大
ガザ地区保健当局は16日、イスラエル軍の攻撃で死亡した158人の遺体が過去24時間に各地の病院に運び込まれ、戦争全体の死者数は2万4285人になったと発表した。同当局は、民間人と戦闘員の死亡を区別していないが、死亡者の約3分の2は女性と子どもだったという。

国連高官は15日、追加で援助が入らなければ、ガザは飢饉と病気の蔓延に直面すると警告した。

直接イスラエルを非難はしなかったが、援助物資の輸送は、ガザ境界に通過できる経路があまりにも少なく、審査プロセスは遅く、そしてイスラエルの支配下にある地区全域で続く戦闘によって妨げられていると述べた。

アントニオ・グテーレス国連事務総長は、国連機関とそのパートナーは、「ガザがこのように激しく広範囲にわたる容赦ない砲撃を受けている間は、人道援助を効果的に届けることはできない」と述べた。開戦以来、少なくとも152人の国連職員がガザ地区内で殺害されている。

イスラエル高官は、人道援助には制限を設けていないとし、国連に対し、より多くの職員とトラックを提供して援助提供を加速させるよう求めている。

イスラエルは、10月7日のハマスの攻撃後、ガザ地区を完全に封鎖し、米国の圧力でやっと少し緩和したのみだ。国連だけでなく、米国もイスラエルに援助が流入しやすくするよう働きかけ続けている。

イスラエルは、民間人の死者が多いのはハマスが住宅密集地で戦っているからだと非難している。イスラエルは、根拠を示さないまま、自軍がおよそ8000人の武装勢力を殺害し、ガザ侵攻作戦で190人の自国軍兵士が死亡したと発表している。

AP

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