ナジア・フサーリ

ベイルート―レバノンのハマド・ハッサン保健相は、国内でコロナウイルスの感染が拡大し41人の感染者が確認される中、レバノン国会が一週間にわたって議員事務所を閉鎖し会議を延期することを決めたと述べた。

同保健省の関係者は、「3人の子供を含めたレバノンでの新たな感染のケースは、国内で既に感染していた人物との接触によるものだった」と述べた。

感染症の専門家でコロナウイルスの緊急委員会メンバーのアブドゥル・ラフマーン・ビズリ博士はアラブニュースに対し、「コロナウイルスは、まだこの国では感染拡大の初期段階にある。私たちは今なお感染者がどこから来たか、また誰を感染させた可能性があるかについて、追跡調査できる」と述べた。

また、同博士は「世界の他国と比べると、レバノンはなお一定程度、安心できる状況にある」と話した。

さらに同博士は次のように続けた。「（イランの都市）ゴムから来た最初の感染者は回復したが、いまだ入院中だ。彼女はキャリアであり、いつウイルスの非感染者になるかについては、私たちには分からない。年長者と違って治癒力が高い子供を含めた他の感染者たちも、回復している」

同博士は、「レバノン各地の大学病院との会合を開いており、コロナウイルスの検査と彼らの実験室の使用を開始している」と述べた。

元ヒズボラ議員のマフムード・カマティ氏は、彼がコロナウイルスに感染しているとの噂を否定し、彼のメディア事務所は「彼の健康に関するいかなるニュースも隠すことはない」と述べた。

レバノンのミドル・イースト航空は9日、サウジアラビア、クウェート、カタールの各発着便について、「一部の国々が、新型コロナウイルスの拡大を避けるため渡航禁止に関する命令を発している」ことを考慮し、次の通知があるまで運航を停止すると発表した。同社は、航空券に関するすべてのペナルティと制限を放棄した。

トルコではまだコロナウイルスの感染が報告されていないが、アラブニュースは、レバノンへのフライトを停止した国々からの多数の旅行者がトルコ行きのフライトに搭乗し、レバノン入国を確保していることを確認した。

世界の他国と比べると、レバノンはなお一定程度、安心できる状況にある

感染症の専門家、アブドゥル・ラフマーン・ビズリ博士

サウジのワリド・ブクハリ駐レバノン大使は、サウジが避難および商用旅行を除く出入国を停止した対象国のリストにレバノンを含める決定が下されたとリツイートした。

レバノンの公共・民間施設で洗浄および消毒の作業が続けられ、人々が外出を控える中、ラムジー・アルムシャラフィエフ観光相は、バーやナイトクラブを3月15日まで閉鎖する命令を下した。

また、同相は、レストラン、カフェでのコンサートや音楽ショーを禁止し、レストランに対しては「コロナウイルスの拡大を食い止めるための予防的措置と安全対策」を講じるよう促した。国内各地の保育施設、学校、大学、映画館、ジムは閉鎖されたままだ。

一方、ベイルートのラフィク・ハリリ病院のコロナウイルス緊急区域から脱出したカナダ国籍を持つレバノン市民は、空港でカナダに出国しようとした際に拘束された。

この男性はコロナウイルスの症状が出た後、検査を受けることを拒否したものの、検査のため同院に戻された。

このほか、サイーダ公立病院のアフメド・アルサマディ博士は、8日夜、同院でコロナウイルスの新たな感染者を確認した。

同博士は、高熱を出したMieh Miehパレスチナ人難民キャンプからの患者が、同院に到着したと述べた。
この患者は隔離施設に収容された後、検査のためラフィク・ハリリ病院に運ばれた。

感染が疑われるケースを確認した病院は、秘密裡に治療されている事例があるとの噂を考慮し、他の患者を安心させるべく厳格な消毒手順を実施している。

一部の病院は、患者の診療を禁止する決定を下した。

病院職員も、感染が疑われるケースを扱うための訓練を受けている。