イスラエルの空爆により、ガザ南部ラファ市では10日、少なくとも44人のパレスチナ人(うち子供12人以上)が死亡した。イスラエル首相が、地上侵攻に先立ち数十万人の避難計画を立てるよう軍に要請したと述べた数時間後のことである。
ベンヤミン・ネタニヤフ首相は詳細やスケジュールを明らかにしなかったが、この発表はパニックを引き起こし、外交官たちは警告を発した。ガザの230万人の半数以上がラファに詰めかけているが、その多くが今や地区領域の二分の三以上に及ぶイスラエルからの避難命令に従った結果だ。彼らが次にどこに逃げ込めるのかは定かでない。
イスラエルによれば、エジプトと国境を接するラファは、10月7日のハマスの攻撃に端を発した戦争が4ヶ月以上続いた後、ガザ内に残されたハマス過激派の最後の拠点だという。
エジプトのサーミフ・シュクリー外相は、イスラエルがラファを地上攻撃すれば「悲惨な結果」を招くと述べ、イスラエルは最終的にパレスチナ人を自国の土地から追い出すことを目的としていると主張した。
もう一方の調停者であるカタールは、イスラエルがラファ侵攻を実行すれば大惨事になると警告し、サウジアラビアは「非常に深刻な影響」を警告した。ネタニヤフ首相と米国との間にさえも摩擦が生じている。米国高官は、民間人のための計画なしにラファに侵攻すれば大惨事につながると述べている。
イスラエルは、ここ数週間、すぐ北に位置するハーン・ユーニスでの地上戦から逃れるためラファに避難するよう市民に伝えていたのだが、その後ほぼ毎日ラファを空爆している。
10日にかけての夜間、3回のラファ地区での民家空爆で28人が死亡したと、保健当局者と病院に到着した遺体を見たAP通信の記者が伝えている。各回の空爆で3家族の複数メンバーが死亡し、その中には生後3ヶ月の子供を含む合計10人の子供が含まれていた。
ファデル・アル=ガーナムさんによれば、ある日の空爆で彼の愛する人々の身体はズタズタに引き裂かれたという。彼は息子と義理の娘、そして4人の孫を失った。彼は、ラファへの地上侵攻で状況がさらに悪化することを恐れており、世界の沈黙がイスラエルにことを進まさせていると述べた。
10日、ラファの民家に対するイスラエルの空爆により、ラファ市長アハメド・アル=スーフィ氏によれば、3人の子供を含む少なくとも11人が死亡した。同地のAP通信記者によれば、死者はアブ・ユセフ・アル=ナジャール病院に運ばれたという。
「これこそネタニヤフ首相が狙っているものだ、民間人だ」と隣人のサミール・アブ・ルーリヤさんは話した。
市当局によれば、他の2回の空爆で警官2人と市民警察の幹部3人が死亡したという。
国境なき医師団によれば、ハーン・ユーニスでは、イスラエル軍が地域最大のナセル病院に発砲し、少なくとも2人が死亡、5人が負傷した。イスラエル軍の戦車は10日の朝、病院の門に到達したと、同病院の医師であるアハメド・マグラビ氏はフェイスブックの投稿で述べた。
保健当局のアシュラフ・アル=キドラ報道官は、病院スタッフは激しい砲火のために建物間を移動できない状態だと述べた。同報道官によると、病院には300人の医療関係者、450人の患者、1万人の避難民が避難しているという。
イスラエル軍は、現在病院内では部隊は活動しておらず、周辺地域は「活発な戦闘地域」であると述べた。
イスラエル軍総司令官のヘルツル・ハレヴィ中将は、空爆と地上戦でハーン・ユーニスのハマス戦闘員2000人以上が死亡したが、同市内の攻勢はまだ終わっていないと述べた。
ガザの死者数が2万8000人を突破
ガザ保健当局は10日、過去24時間にイスラエル軍の空爆で死亡した117人の遺体が病院に運び込まれたと発表し、ガザ侵攻による死者数は合計2万8064人に達し、そのほとんどが女性と子どもだった。同省によれば、6万7000人以上が負傷したという。
イスラエルは10月7日、数千人のハマス過激派が国境を越えてイスラエル南部に侵入し、1300人を殺害、250人を人質に取った後、宣戦布告した。残る人質の全員が生きているわけではない。
イスラエルは、ハマスが民間人居住地域内で戦っているため、民間人死亡の責任はハマスにあるとしているが、米国政府高官はもっと的を絞った攻撃を求めている。ジョー・バイデン米国大統領は今週、イスラエルの対応は「やり過ぎ」だと述べた。
ネタニヤフ首相は、ラファにハマスの4個大隊が残っているままでは、ハマス排除は不可能だとしている。
エジプトは、パレスチナ人がエジプト内に移動すれば、40年来のイスラエルとエジプト間の和平条約が脅かされると警告している。ほとんど閉鎖されているラファの国境は、人道援助の主要な入口として機能している。
ラファの戦前の人口はおよそ28万人。国連によれば、現在はさらに他の場所での戦闘から逃れてきた約140万人の居住地となっている。ガザ住民の約80%が家から逃れており、食料や医療サービスが不足する人道的危機に陥っている。
ドイツのアナレーナ・ベアボック外相は、イスラエルによるラファ攻撃は「人道的大惨事を招く準備をしている」と警告し、X上での投稿でさらに「ガザの人々が空気中に消えてしまうようなことはありえない」とした。
ガザの他地域の状況
10日、イスラエル軍は、ガザ市にある国連パレスチナ難民救済事業機関の本部の地下にトンネルを発見したと発表し、ハマスの過激派がその空間を利用していると発言した。
病院関係者およびAP通信の記者によると、ガザ中心部の町デイル・アル=バラに対するイスラエルの空爆で、5人が死亡、約10人が負傷したという。
ガザ市のテル・アル=ハワ地区では、パレスチナ赤新月社(PRC)の看護兵2人が、12日前に行方不明になった後、破壊された救急車の中で死亡しているのが発見された。彼らは、避難命令を守るために家族とともに移動中だった5歳のヒンド・ラジャブちゃんを救出するため駆けつけるところだった。
PRCは以前、ヒンドちゃんのいとこから、車が銃撃を受け、彼女とヒンドちゃんだけが生き残ったという電話の録音を公開していた。いとこは通話中に沈黙した。
PRCは、救出作戦はイスラエル軍との調整の上だとしたが、イスラエル軍からのノーコメントはなかった。
AP