ベイルート:2月10日のレバノンへのイスラエルによる攻撃で、民間人2人とヒズボラの構成員1人が死亡したとの当局発表があった一方で、レバノンの治安関係筋がAFPに明かしたところによると1人のハマス幹部がこのベイルートの南方に位置する村落での暗殺を企図した攻撃から生還したという。
レバノン国営通信社(NNA)は、同国南部国境の村フラでのイスラエルのドローン攻撃によって1人が死亡し、9人が死亡したと報じた。
2023年19月27日にガザ地区のパレスチナ武装組織ハマスとイスラエルの間で戦争が勃発して以来、イスラエル軍とハマスの同盟組織であるレバンのヒズボラ運動は連日銃撃戦を行っている。
ヒズボラに近い関係筋は、AFPに対して、フラで殺害された人物はヒズボラの構成員だったと明かした。
フラのシャキブ・コテイシュ村長は、死亡したのは同村のモスクに面した自宅が攻撃を受けた民間人だったと述べた。
イスラエル側とレバノン側組織の戦闘はほぼ国境地帯に収まっているが、2月20日早朝にはイスラエル国内の最も近い地点から約40 km離れた(25マイル)離れた海岸沿いのジャドラ村が攻撃を受けた。
4ヶ月にわたる戦闘を通して国境線から2番目に遠方となるジャドラ村に狙いを定め、死者を出すに至った今回の攻撃は、「(ハマス)運動の幹部への暗殺未遂」だったと、安全上の懸念から匿名を条件としたパレスチナの治安関係者が語った。
NNAは、イスラエルの無人機による攻撃だったと報じた。
同じく匿名を条件としたレバノンの治安当局者も、標的はハマスのリクルート担当者であるパセル・サレハ氏だったと明らかにした。
サレハ氏の自動車に対する最初の攻撃の直後、イスラエルの2機目の無人機が同じ地点を攻撃し、2人が死亡したと同治安当局者は語った。
ヒズボラは、その構成員の1人が死亡したと発表した。
サレハ氏は「九死に一生を得たものの、背中に火傷を負って入院」したと、同じレバノン当局者が明かした。
サレハ氏は、1967年以来イスラエルの占領下にある「ヨルダン川西岸地区の募集部隊を管理」していると、同レバノン当局者は付言した。
レバノンのハマス関係者は、ジャドラに対して行われた攻撃で同組織の構成員は1人も死亡していないとAFPに語った。
ヒズボラの同盟組織であるアマル運動の傘下団体として救助隊を運営しているレバノンのサラ・スカウト協会の関係者は、ジャドラへの攻撃で、民間人2人が殺害されたとAFPに語った。
しかし、その後、ヒズボラは、その構成員の1人がイスラエル軍の攻撃で死亡したと発表した。ヒズボラに近い情報筋によると、死亡したのはジャドラで殺害された2人の内の1人ハリル・ファレス氏という同市在住の男性だった。
イスラエルからのコメントは現時点では得られていない。
ジャドラに居合わせたAFPのカメラマンは、ビーチ近くの攻撃を受けた地点で撒き散らされたかのような血痕を、その近傍では破損した自動車や黒焦げになったオートバイを目撃した。
2月10日、NNAはレバノン南部の村落に対するイスラエルによる複数回の攻撃を報じ、ヒズボラも国境の向こう側のイスラエルの拠点に対する攻撃を行ったと述べた。
ヒズボラは、「敵であるイスラエル側のスカイラーク無人機1機の制御を乗っ取った」事を声明で発表した。
AFPの集計では、イスラエル・ハマス戦争開始以来、国境を挟んだ戦闘により、レバノン側では少なくとも230人が死亡している。そのほとんどはヒズボラの戦闘員だが、28人の民間人も含まれている。
イスラエル軍によると、同国側では、兵士9人と民間人6人が死亡したという。
2月8日には、イスラエル軍の無人機が行った攻撃により、レバノン南部でヒズボラの司令官が重傷を負い、その後ヒズボラはイスラエル北部にロケット弾の一斉発射を行った。
1月には、イスラエルによると考えられている攻撃により、ヒズボラの南ベイルートの拠点でハマスの副指導者だったサレハ・アルアルリ氏が殺害された。アルアルリ氏はこのイスラエル・ハマス戦争開始以来殺害されたハマスの構成員の中で最高位の人物であり、同氏の暗殺は大々的に報道された。
AFP