

国連:ロシアと中国は、2月14日、イエメンの反政府勢力フーシ派が紅海航行中の商船へのミサイルの発射のために用いていた軍事拠点に対して違法な空爆を行い、国際的な海上輸送を混乱させたとして米国と英国を非難した。
米国のロバート・ウッド国連副大使と英国のバーバラ・ウッドワード国連大使は、フーシ派の攻撃が違法であり、イエメンの反政府勢力であるフーシ派に対して自衛のために「相応で合法的な行動」を取っているのだと反論した。
ウッドワード国連副大使は、フーシ派の攻撃により「紅海周辺地域の食料供給や人道支援のコストを含め、国際的に輸送コストが上昇しています」と述べた。
しかし、ロシアのドミトリー・ポリャンスキー国連副大使と中国の張軍国連大使は、対イエメンの軍事行動を国連連安全保障理事会は承認していないと主張した。
この衝突は、国連のイエメン担当特使であるハンス・グルンドベルグ氏がガザ戦争と「特に紅海での軍事的激化」に関連する地域的緊張の高まりによってイエメンの平和を回復するための有望な取り組みが遅延していると述べた安全保障理事会で発生した。
2023年11月以来、フーシ派反政府勢力は、ガザ地区でのイスラエルによる攻勢の停止を要求し、紅海の船舶を標的化してきた。フーシ派は、イスラエルとの繋がりが希薄または不明な船舶を頻繁に攻撃し、アジアや中東、ヨーロッパ間の重要な貿易航路の輸送を危険にさらしている。
米国と英国は、最近数週間、他の同盟国の支援を受け、フーシ派のミサイル兵器庫やミサイル発射基地を標的とした空爆を実行している。
米国のウッド国連副大使は、米海軍艦艇への攻撃に対応した米国による空爆は「紅海やバブ・エル・マンデブ海峡、アデン湾で船舶や商船に対して無謀な攻撃を継続するフーシ派の能力を破壊し低下させることを目的としています」と語った。
ウッド国連副大使は、フーシ派が商船を標的として使用した兵器を初め、イランがフーシ派に対して提供する「先進兵器は増え続け」ており、「フーシ派による船舶攻撃を支援し可能としているイランの役割は明白です」と述べた。
ウッド国連副大使は、「紅海を航行する世界の海上輸送の息の根を止めようとしている」としてフーシ派を非難し、すべての国、とりわけイランとの直接的な意思疎通ルートを持つ国々に、こうした不法な攻撃を中止するようにイランに強く要請することを求めた。
ロシアのポリャンスキー国連副大使は、ロシア政府は「商船への攻撃や拿捕、そして(…)航行の自由を妨害するあらゆる攻撃を断固として非難します」と強調した。ロシアはフーシ派指導者に対して、イエメンの国内問題に焦点を置き平和を希求するよう伝えたと、ポリャンスキー国連副大使は述べた。
国連のイエメン担当特使のグルンドベルグ氏は、2023年12月下旬、イエメンの首都と同国北部の大半を支配するフーシ派と国際的に認められているイエメン政府が「全国的な停戦、生活状況の改善策、イエメンの国内の政治プロセスの再開に同意しました」と語った。
しかし、グルンドベルグ特使は、イエメンの和平プロセスをこの中東地域の状況から切り離すことは不可能であり、米国と英国によるフーシ派への攻撃や、米国によるフーシ派の「特別指定テロ組織」認定について「懸念」をしていると述べた。
「状況は混迷の度合を増すかもしれませんが、何があろうとも私はこの職務を継続します」と、グルンドベルグ特使は語った。「そのためには、政治的な空間を確保し、コミュニケーションの経路が開いた状態を保ち、当事者全てがこの取り組みに関与し続けることが絶対不可欠なのです」
ロシアのポリャンスキー国連副大使は、現在の状況の発端は、2023年10月7日にハマスがイスラエル南部を奇襲し、それに続いてガザ地区に対してイスラエルが軍事攻撃を行ったことであり、フーシ派を含め中東で連鎖反応が引き起こされているのだと語った。
「ガザ地区での即時停戦は、紅海の状況の安定化に役立ち、紅海での状況が緩和すれば、グルンドベルグ特使の取り組みにとっての障害も解消されることでしょう」と、ポリャンスキー国連副大使は語った。
イエメンの内戦は、2014年、フーシ派が同国北部の拠点から打って出て国際的に承認された政府を首都サヌアから追放したことから始まった。その翌年には、サウジアラビア主導の連合軍が政府に代わって介入し、やがてこの紛争はサウジアラビアとイランの間での代理戦争へと発展したのだった。
この戦争は、それ以前に既にアラブ地域の最貧国であったイエメンを壊滅させてしまい、世界で最も深刻な人道災害の1つを引き起こすに至った。
国連人道事務所のエデム・ウォソルヌ人道活動担当官は、安全保障理事会に対して、イエメンは「継続的に大規模な人道支援を必要」としていると語った。
今年2024年には、イエメンの人口の半分以上に当る1,800万人以上が人道支援を必要とするだろうと、ウォソルヌ人道活動担当官は述べた。
イエメンでは1,760万人が「大幅な食料不足」に陥り、深刻な飢餓の危険性に晒されると国連は予想していると、ウォソルヌ人道活動担当官は語った。
「5歳未満の乳幼児たちの半数近くが、中程度から重程度の発育阻害に直面しています」
2023年、国連は、43億ドルの人道アピールを発表したものの、受領したのはその40%のみだったとウォソルヌ人道活動担当官は述べた。2024年のイエメン関連のアピールでは、狙いを絞り、イエメン全土の1,120万人に到達するよう27億ドルを求めている。
AP