
アラブニュース
ロンドン:新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の世界的な流行により、多くの政府が対策を迫られている。そのほとんどが、日常生活や労働条件に制限を加えており、このパンデミックを食い止めようと完全な封鎖を実施する国さえある。
政府が選択を雇用主に任せている国でさえ、多くの場合、感染の拡大を遅らせるため従業員に可能な限り自宅で仕事をさせることが決定されている。命を守るため、当面の間業務を停止するケースも多い。
しかしカタールでは事情が異なっており、2022年のFIFAワールドカップの開催に向けて準備が進んでいるため、多くの移民労働者が、現在も人の密集した危険な建設現場で働き続けている。
カタール政府は「海岸付近、公共の公園やビーチでのおよび社交目的のものを含むがこれらに限定されない、あらゆる形の集まり」を禁止した。
しかし、ジム、モール、銀行の営業もまたほぼ全面的に禁止されたにもかかわらず、奇妙なことに建設現場はその禁止対象に含まれてはいない。
カタールで現在確認されているCOVID-19の感染者数は、中東で3番目に多い500名である。
しかし、カタール政府がCOVID-19対策に苦慮し、ワールドカップが刻々と近づいている中、スタジアムやその他のインフラプロジェクトの建設業務は、COVID-19感染者の大部分を移民が占めているにもかかわらず、急ピッチで進行している。
カタールの建設現場の労働者たちは、健康診断をほとんど受けられていないと伝えられており、住んでいるキャンプから、バスにすし詰めになって通勤している。キャンプでの住居はしばしば10人部屋のドミトリーで、ほぼ常に他人と接近している状態だ。
ガーディアン紙の報じるところでは、労働者たちは、彼らを雇用する企業から、また母国の家族をサポートする必要からという二方向からの圧力に直面して、仕事を続ける以外に選択肢がないと感じていると語っている。
従業員が仕事に行くことを拒否するのはどんな場合でも難しいものだが、雇用主が労働者に対して極端なほどに力を持っているカタールのようなシステムでは、そうした困難さは特に危険なものとなる。
移民労働者問題の専門家、ジェームズ・リンチ氏
「ウイルスのことはとても心配ですが、私にはお金が必要です」とあるケニア人労働者は語り、14時間のシフトの間、手袋とマスク以外の保護は提供されていない、と付け加えました。
あるネパール人の労働者はガーディアン紙に、「私はフェイスマスクを自分で買って使っています。マスクを持っていない人は、布で口を覆っています。」と話している。
カタールの移民労働者たちが直面する問題は、新型コロナウイルス感染症の大流行により、さらに難しいものとなっている。.
多くの労働者たちは、カタールに来るためのスポンサーシップの確保に高額の費用を支払うが、彼らの給与は不当に低く抑えられている。また、退職または転職は雇用主の許可が必要だ。多くの人々により奴隷制度に例えられてきたこうした慣習は、廃止するというカタール政府の約束にもかかわらず、いまだに広く行われている。
フェア/スクエア・リサーチ・アンド・プロジェクツのディレクターであり、カタールの移民労働者問題の専門家であるジェームズ・リンチ氏は、ガーディアン紙にこう指摘する:「従業員が仕事に行くことを拒否するのは難しいものですが、雇用主が労働者に対して極端なほどに力を持っているカタールのようなシステムでは、そうした困難さは特に危険なものとなります。」
「今回のパンデミックの結果、カタールへの新規の移民が中止されたため、仕事を失うことによる影響は、いずれにしろ通常の場合よりも今のカタールではさらに深刻になっています。」とリンチ氏は付け加えている。
多くの人々が政府の対応に憤慨しており、カタール内の移民労働者コミュニティの人々が感じている不快感はソーシャルメディアの投稿にも表れている。
「誰も私たちの安全など気にかけていません」とある者は書く。「彼らは私たちが生きていたくないとでも思っているんだろうか?私たちが家族に会いたがっていないとでも思っているんだろうか?」
他の一人はこう訴えている:「私たちはロボットではないし、ウイルスに対して免疫があるわけでもないんです。」