
ベイルート :レバノンは日曜日、イスラエルに併合されたゴラン高原で子供を含む12人が死亡した攻撃について国際的な調査を求め、大規模な報復を行うと警告した。
ヒズボラは声明で、土曜日にマジュダル・シャムスを攻撃したという、イスラエルによる非難を否定し「イスラム抵抗勢力はこの事件とは全く無関係であり、この攻撃に関する虚偽の主張を断固として否定する」と発表した。
ヒズボラの声明後、レバノンで最も有力なルーズ派指導者である進歩社会党の前党首ワリード・ジュンブラット氏は、「イスラエルという敵が、争いに火をつけ、地域を分断し、さまざまなコミュニティを標的にしていること」に対して警告を発した。これは、イスラエルが日曜日の朝、レバノン南部のティレ近郊のアル・アッバシエ村とブルジュ・アル・シャマリ村に激しい空襲を加え、広範囲に破壊をもたらしたことを受けてのものである。
また、イスラエルは国境沿いのタイル・ハルファ村とキアム村を空襲し、ベカー中部タラヤの住宅を2発のミサイルで攻撃、建物は破壊されたが死傷者は出なかった。
マジュダル・シャムスでの攻撃は、イスラエルが南部国境の村ファルキラを急襲し、ヒズボラのメンバー4人が殺害された数時間後のことであった。
レバノン政府は声明で、「すべての民間人に対する暴力行為と攻撃」を非難し、「民間人を標的にすることは国際法の明白な違反であり、人道主義の原則に反する」と続け「全前線における敵対行為の即時停止」を求めた。
アブドゥラー外相は日曜日の声明で、「戦争が始まって以来、ヒズボラは民間人ではなく軍事施設を標的にしてきた。他の組織による計画かもしれないし、イスラエルのミスかもしれないし、ヒズボラ側のミスかもしれない。真実を明らかにするためには、国際的な調査が必要です」と発表した。
国連レバノン特別調整官ジャニーヌ・ヘニス・プラスシャール氏と、国連レバノン平和維持軍司令官アロルド・ラザロ氏は、共同声明で「マジジュダル・シャムスで幼い子どもや10代の若者を含む民間人が死亡した」と非難し、「民間人は常に保護されなければならない」と強調した。そして、「当事者に最大限の自制を促し、現在も続いている激しい銃撃戦を止める」よう求めた。プラスシャール氏は、ナビーフ・ビッリー国会議長と電話会談を行った。同議長は、ヒズボラとの最も緊密な意思疎通経路とされている。同議長の報道事務所によると「レバノンとその武装勢力は、国連決議1701号と交戦規則を遵守し、民間人を標的としないことを確約している」と断言した。さらに「武装勢力が、事件への関与を否定したことは、この確約通りであり、レバノンにも武装勢力にも責任がないことを強調するものである 」と続けた。
UNIFILのアンドレア・テネンティ報道官は、緊張を緩和するために同機関が両当事者と接触していると明らかにした。
ジュンブラット氏は、米国の中東調停官アモス・ホッホシュタイン氏から電話を受け、マジュダル・シャムス事件後、レバノン南部戦線の情勢がエスカレートしていると懸念を表明した。ジュンブラット氏は、マジュダル・シャムスの住民のほとんどがルーズ派であることから、事態を収拾しようと努めた。「占領下のパレスチナであれ、占領下のゴランであれ、レバノン南部であれ、民間人を標的にすることは受け入れられないし、非難されることです」と同氏は述べ「イスラエルという敵の歴史は、民間人に対する虐殺で満ち溢れています」と続けた。
テレビや ソーシャルメディアの活動家や支持者は、マジュダル・シャムス攻撃へのヒズボラの関与を否定し、「マジュダル・シャムスにはヒズボラが標的とするような入植者はおらず、ヒズボラもそれを知っています」と述べた。
ヒズボラの否定もむなしく、イスラエル軍はロケット発射の責任を追及した。イスラエル軍のアビチャイ・アドレー報道官は「シェバア地区にある発射施設の司令官アリ・モハメド・ヤヒヤは、マジュダル・シャムス村に向けてロケット弾を発射するよう命令した」と批判した。
日曜日のイスラエルによるレバノン空襲は甚大な破壊をもたらしたが、人的被害はなかった。空襲の標的は、アル・アッバシエ村とブルジュ・アル・シェマリ村の2つの大型格納庫であった。ヒズボラとイスラエル軍の敵対行為が始まって以来、この地域に対する定期的な空襲は住民にパニックを引き起こし、数十棟の家屋やアパートに損害を与えた。
あるレバノン治安筋は「7機のイスラエル軍機が同時に空襲を行った」と語った。
アドレー氏は、空襲はレバノン全土の7つの異なる地域で、武器庫やインフラを含む、レバノン南部、さらに内陸にあるヒズボラの標的を攻撃したと発表した。ヒズボラは、「マナラ入植地のイスラエル兵」を標的とし、反撃した。イスラエル当局は日曜日、ヒズボラに報復することを宣言した。
ヨアヴ・ガラント国防大臣は「これは、子どもたちにとって非常に辛く苦しい出来事です。ひどい悲劇です。ヒズボラの責任であり、ヒズボラは報いを受けるでしょう」と、犠牲者の葬儀が行われたマジュダル・シャムスを訪問した際に語った。
アドレー氏によれば、イスラエルの参謀総長ヘルツィ・ハレビ氏は土曜日の夕方、マジュダル・シャムスを訪問した。参謀総長は、被弾したサッカー場を視察し、北部での戦闘の準備態勢を確認し「ロケット弾がどこから発射されたか正確に把握しています。このサッカー場の壁にあるロケットの残骸を調査しました。重さ53キロの弾頭を持つファラク・ロケットで、これはヒズボラの武器です。このようなロケットを、人口密集地に向けて発射するということは、一般市民や子供たちを殺害するということです」と述べた。
ロイター通信は、治安情報筋の話として、ヒズボラは「厳戒態勢を敷いており、レバノン東部と南部の複数の重要拠点から退避している」と報じた。
フランスとノルウェーは自国民に対し、「レバノンとイスラエルへの渡航を避けるよう」呼びかけ、レバノン国内にいる自国民にはレバノンから出国するよう求めた。