
ベイルート:ヒズボラとイスラエル間の深刻なエスカレーションを緩和するため、レバノン政府は他国との政治的・外交的連携を強めている
こうした動きは、特にイスラエルが日曜日の夜、「マジュダル・シャムスへの攻撃はヒズボラの責任 」とみなし、それに対する報復を決定したことを鑑み、レバノンの紛争突入を未然に回避することを意図したものである。
ヒズボラは、土曜日に12人の子供らが死亡したマジュダル・シャムスへの攻撃の関与を否定している。
あるレバノン政府筋は、「国際的なコミュニケーション」が今のところ全面戦争を封じ込めることに成功していると述べた。
イスラエル軍のアビチャイ・アドレー報道官は「ヒズボラに対するわれわれの対応は明確かつ強力なものである」と述べた。
レバノンの治安筋は、ヒズボラが日曜日以降、レバノン・シリア国境付近やシリアのサイイダ・ザイナブ付近など、南部とベカー地方のいくつかの要所を「イスラエルの攻撃を想定して」撤退したと確認したという。
レバノンは月曜日、特に南部地域、ベカー地域、ベイルートで予期せぬ警戒態勢に入った。各地を結ぶ道路では比較的慎重な対応が続いた。
一部の航空会社がレバノンへのフライトを停止するという発表があり、一層警戒感が高まった。
大使館ではなく、外務省が自国民に対し、直ちにレバノンを出国するか「長期の避難生活に備える」よう警告した。
イギリスのデービッド・ラミー外相は、ナジーブ・ミカティ暫定首相に対し「事態の深刻化を防ぐため、すべての当事者に自制を求める」と改めて要請した。同外相は、「紛争を平和的に解決し、関連する国際決議を実施する必要がある」と強調した。
ロイター通信は、アントニー・ブリンケン米国務長官がイスラエルのイツハク・ヘルツォグ大統領に対し「ゴラン高原での、ミサイル攻撃後の紛争激化を回避する重要性」を強調したと報じた。ブリンケン氏とヘルツォグ氏は 「イスラエルとレバノン国境の、両側の住民が帰還できる外交的解決策」について協議したという。
ロイター通信は、イスラエル政府関係者の言葉を引用した: 「ヒズボラに報復したいが、全面的な地域戦争は望んでいない」
ヒズボラとイスラエル軍の敵対行為は月曜日も止むことはなかった。イスラエル軍は、午前中に2箇所を空襲した。最初の空襲はシャクラ近郊の車を標的にしたもので、オートバイが現場に到着すると、2度目の空襲の標的にされた。この結果、2人が死亡し、子供を含む3人が負傷した。ヒズボラは、死亡した、シャクラの町に住むカルバット・サレム出身のアッバス・サラミさん(34歳)と、マジャル・サレムの町出身のアッバス・ヒジさん(29歳)を追悼した。
イスラエル軍の空爆がフーラを襲い、大砲がアイタルーン郊外を砲撃した。メイズ・アル・ジャバル南部の住宅地も砲撃と白リン弾の攻撃を受け、火災が発生した。マルカバ、ラブ・エル・タラティン、クファル・ハマムの郊外も攻撃された。
イスラエル軍は自動小銃を使用し、メトゥラ入植地の前哨基地からカフル・キラに向けて掃討作戦を実施した。
ヒズボラはイスラエル軍の拠点を攻撃し続けた。ヒズボラ系列のアル・マナル・チャンネルによると「ミサイルが落ちた後、キリヤット・シュモナ入植地を囲む森で大規模な火災が発生した」と報じた。ヒズボラによれば、数十発のカチューシャ・ロケットでイスラエルのアル・バグダディ軍事拠点と、アル・ラヘブの兵駐屯地を誘導ミサイルで攻撃したという。
イスラエルのメディアは、ガリラヤ地方のハゴマに数発のロケット弾が着弾したと報じた。
イスラエル国防大臣のヨアヴ・ガラント氏は、ヒズボラは「重大な代償を払うことになるだろう、 イスラエルは言葉ではなく行動で示す」と述べた。
日曜夜の運航停止後、ミドル・イースト航空の航空機は、ベイルートのラフィク・ハリリ国際空港の滑走路に、月曜日午後に着陸した。同航空は、フライトスケジュールの乱れは 「保障上のリスク 」 によるものだとしている。
空港には、レバノンに入国する乗客が殺到し、ほとんどがレバノン人駐在員であった。
空港の受付で働くハラさんは「到着客にレバノンに来るのが怖いか、と尋ねるとみんな笑って歩いていってしまいます」とアラブニュースに語った。
在レバノン米国大使館は、レナ・ビター領事担当国務次官補によるビデオクリップの中で、米国市民に対し「危機発生時の行動計画を立て、有事が始まる前に出国する」よう勧告した。同氏は「政府はレバノン情勢に注視しており、米国務省は在外米国民の安全と危機管理を第一に考えている」と強調した。また、米国民が大使館から直接警報を受け取れるように、有事への備えの重要なポイントを再確認した。
同氏は「現地の通信手段や交通インフラが正常である間は、民間交通機関を利用するのが最善の選択です。米国パスポートの有効期限が6ヶ月以上あることを確認してください。民間の航空会社が利用できない場合は、長期間の避難を覚悟してください」 と勧告した。
イタリア外相も自国民にレバノンから出国するよう促し、ドイツ政府報道官はドイツ国民に 「早急にレバノンから出国するように」 と勧告した。
スイス・インターナショナル・エアラインとユーロウィングスを擁するルフトハンザ・グループは声明の中で「現在の中東情勢を受け、予防措置として8月5日までベイルート便を運休する 」と発表した。
エールフランスとトランサヴィアは水曜日までベイルート便を運休する。
サウジアラビアは自国民に対し「レバノンへの渡航を控える 」ことを求めた。
ロイヤル・ヨルダン航空はベイルート便を運休し、トルコ航空はベイルート行きの2便をキャンセルした。
トルコの格安航空会社サンエクスプレス、トルコ航空のAJET、ギリシャのエーゲ航空、エチオピア航空も、ベイルート便のフライトを運休する。