
パレスチナ自治区、ガザ地区: ガザ地区のエジプトとの国境に沿った狭い土地が、イスラエルとハマスの停戦交渉の障害となっている。
イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、ハマスの10月7日の攻撃に端を発した戦争で占領したフィラデルフィア回廊(サラヘディン回廊)の永久支配を望んでいる。
有刺鉄線で守られたこのパトロール道路は、国境に沿って14キロメートル(8.5マイル)続き、最も狭いところで幅約100メートル(330フィート)あり、その下にトンネルが掘られ、密輸に使われていると言われている。
1967年から2005年にかけてガザがイスラエル軍の直接占領下にあったときにイスラエル軍によって建設されたもので、現在のイスラエルのハマスに対する攻撃において重要な標的となっている。
イスラエルの交渉担当者たちが、ガザの停戦と人質解放の可能性についてカイロで協議を行うなか、フィラデルフィア回廊が主要な対立点となっている。
ネタニヤフ首相は、「ハマスの再武装を防ぐために」イスラエルの支配が必要だと主張している。
エジプトでの最新協議に参加していないハマス側は、イスラエルによるガザからの完全撤退を要求している。
今週、エジプトの高官も同様に、「フィラデルフィア回廊とパレスチナのラファ検問所からのイスラエル軍の完全撤退」を要求した。
2005年にイスラエルとエジプトの間で結ばれた協定は、同年イスラエルがガザ地区から一方的に撤退する一環として、緩衝地帯としての回廊を設置した。
これは、ガザへの出入りを管理しやすくし、侵入や密輸を阻止するためのものだった。
回廊を建設するために取り壊された家屋もあり、ガザ地区の最南端に位置するラファのガザ側と、同地区のエジプト側との間に、イギリスの植民地政策の名残である分断を際立たせている。
和平条約
2005年9月にイスラエル軍がガザから撤退すると、エジプトは国境警備のために約750人の部隊を設置した。
1979年のイスラエル・エジプト和平条約の非武装条項に抵触するのを避けるため、エジプト軍の目的は、この地域の「テロリズム」と戦うことであった。
ガザ側では、当時パレスチナ自治政府が統治していたパレスチナのマフムード・アッバース大統領が、フィラデルフィア回廊の警備のために警備員を配備した。
しかし2007年6月、過激派組織ハマスがガザ地区を掌握した。アッバース氏のファタハ党との対立により、選挙で地滑り的勝利を収めたにもかかわらず、イスラム主義運動が指導権を握ることができなかったからだ。
その後、この国境地帯は、現地の武装集団の武器庫となる武器の密売に対する懸念の高まりの焦点となった。
フィラデルフィア回廊の地下には何百ものトンネルが掘られ、武器から自動車、麻薬、さらにはケンタッキーフライドチキンのような食品まで、あらゆるものの密輸に使われてきたと言われている。
国際機関によれば、武装した戦闘員たちはこれらの地下ルートを縦横無尽に行き来し、一方、密輸業者たちは、医療予約や結婚式への出席など、さまざまな理由で民間人の移動を容易にしてきたという。
パレスチナ人にとってトンネルは、ハマスが政権を掌握した際にガザ地区全体に敷かれたイスラエルによる陸海空封鎖を回避する手段だった。
2013年にエジプトのアブドゥルファッターハ・エルシーシ大統領が政権を握ると、カイロはパレスチナの過激派が隣国シナイ半島のジハード主義グループに武器や戦闘員を密輸するためにトンネルを利用していると非難し、トンネルの多くを破壊する方向に動いた。
先週、イスラエル軍はフィラデルフィア回廊の下にある約50のトンネルを破壊したと発表した。
10月7日の攻撃後にイスラエルとハマスの戦争が始まって以来、ネタニヤフ首相は国境地帯の戦略的重要性を強調してきた。
イスラエル軍は5月、このルートを「作戦統制」していると発表した。
エジプト政府の国家情報サービス責任者であるディアア・ラシュワン氏は1月、汎アラブ系ニュースチャンネル『アル=ガド』に対し、このような「占領」は両国間の「合意によって禁じられている」と述べた。
それは「イスラエル・エジプト和平条約違反の脅威」にさえなるとラシュワン氏は言った。
アメリカが仲介した1979年の合意は、イスラエルとアラブ諸国との間で結ばれた最初の和平条約だった。
AFP