
イスタンブール:医師たちの歓声の中、93歳のアリエ・グンドゥズさんは10日間の治療の後新型コロナウイルスから回復し、イスタンブールの病院を退院した。
女性の回復は、主に高齢者に死者が出ているこの病気のアウトブレイクと戦うイスタンブールのセラパサ医学部病院の医療従事者たちに希望をもたらした。トルコはこのアウトブレイクにより大打撃を受けるリスクに直面している。
「この年齢、かつ慢性疾患を持つ患者はCOVID-19のリスクが最も高く、ほとんどの場合回復が見込めないため(グンドゥズの退院には)希望が持てます」と、主任医師のゼカイ・クトルベイ氏はAFPに語った。「93歳の女性が全快してICUから出て行ったことは、私たちだけでなく、彼女の年齢の他のコロナウイルス患者にとって励みとなっています」高血圧に苦しむトルコ南東部の都市バットマン出身の農婦であるグンドゥズさんは3月31日、高熱と腹痛を訴えて病院に搬送された。彼女は金曜に退院した。
「皆さんに一日も早い回復を願っています」と、高齢の彼女は孫に導かれながら言った。トルコは47,000人以上のCOVID-19患者を記録しており、世界で最も感染数の多い10カ国に入っている。同国では千人以上の死者を記録し、病気は急速に広がっている。
毎日増え続ける患者数に直面するトルコの医療従事者たちは、日夜患者の治療に当たっている。これまでに1人の医師が死亡し、600人以上の医療従事者が感染している。
「誰もがまるで戦時中かのように懸命に働いています」とイスタンブール大学セラパサ医学部長のヌリ・アイディン氏は同病院でAFPに語った。「ここの雰囲気は職場というよりも戦場のようです」
人口約1,500万人のトルコ最大の都市イスタンブールは国内の患者の60%以上を擁し、同国のウイルス震源地として浮上している。
セラパサ医学部では3月中旬のアウトブレイク以降、手術室を集中治療室に変え、COVID-19専用の病棟を作り、一般患者とコロナウイルス感染患者を分離して迅速に対応してきた。
医師たちは現在、患者210人および集中治療室の別の患者30人の治療に当たっている。また、医療従事者の治療専用に1棟の建物が割り当てられている。自分の家族から隔離された医療従事者の中には、身内に病気が広がらないように寮やホテルに滞在する人もいる。
「言葉にするのは難しい。彼らは超人的に取り組んでいます」と、アイディン氏は語る。
93歳の女性が全快してICUから出て行ったことは、私たちだけでなく、彼女の年齢の他のコロナウイルス患者にとって励みとなっています
ゼカイ・クトルベイ、トルコの医療関係者
「医療従事者が提供するサービスに値段はつけられません。彼らは人類に仕えているのです」28歳のフィジシャンアソシエイト(PA)のフルカン・カート氏は賃貸アパートに住み、4週間両親から離れている。「我々はあらゆる防護措置を講じていますが、我々が感染しない保証はありません」と彼は言う。
「私たちが持っている唯一の希望は、私たちがいつかまた美しい日々を取り戻すことです。希望を持つこと。他にできることは何もないのです」
COVID-19の診断を受けた後、携帯電話その他私物がなく、準備ができていない患者もいる。
「土曜の勤務中、私たちは救急患者を受け入れました。患者は何も持っていませんでした、スリッパもパジャマも。私たちは患者のニーズに対処し、必要に応じて私たちの携帯電話を提供しました」と、看護師長のメルヴェ・ピレシオグルさんは言う。
「初めて診断を聞くと、患者は当然パニックに陥ります。私たちは、恐れることは何もないと彼らに助言します。適切な栄養、気をしっかり持つこと、そして隔離ルールを守れば、克服することは可能です」
コロナウイルスに感染した別の病院の医師、34歳のオメル・ファルク・ビリチさんは、集中治療を含む20日間の治療の後、セラパサから退院した。
「私は6平方メートルの部屋に閉じ込められるのがどんなものか知っています」と彼はAFPに語った。「今回のことは私のようにリスクにさらされている同僚たちを震え上がらせました。私は20日間誰の顔も見ていません」ビリチさんは自宅での隔離期間が終わったらすぐに職務を再開したいと考えています。「現場に戻るのが待ち遠しいです」と、彼は言う。
セラパサでは、70人以上の医療従事者がコロナウイルスに感染している。「私たちは自分自身のことはそっちのけで、患者の回復のために日夜取り組んでいます」とイルカー・イナンク・バルカン准教授は言う。「患者が一人また一人と回復していくことが、私たちの励みとなっています」
主任医師クトルベイ氏の同僚たちはこのようなプレッシャーにさらされているにもかかわらず、人との間に距離を置くソーシャルディスタンスのルールを尊重しながら、氏の50歳の誕生日パーティーをサプライズで行った。
マスクを着用したクトルベイはケーキのろうそくを吹き消すことなく、「今はこの状態を受け入れよう。来年は変わることを願っている」と語った。
AFP