
ベイルート:レバノンの議会は木曜日、大統領選挙を実施する予定である。イスラエルとヒズボラの戦争、および隣国シリアにおけるヒズボラの同盟国バシャール・アサド政権の崩壊により揺らいだ政治情勢において、成功の可能性が高まっていると当局は見ている。
宗派間の権力分担制度により、マロン派キリスト教徒に留保されている大統領職は、ミシェル・アウン氏の任期が2023年10月に終了して以来、空席となっている。128議席の議会では、どの政治グループも単独で大統領候補を指名できるだけの議席を確保しておらず、これまでコンセンサスに基づく候補者選定で合意に至っていない。
今回の投票は、2016年にイスラエルとの戦争で大打撃を受けたイラン支援のシーア派グループ、ヒズボラが、同盟関係にあったキリスト教徒のアウン氏の大統領就任を後押しして以来、レバノンの勢力バランスにとって最初の試練となる。
アサド政権下のシリア国家が、直接的に、あるいはヒズボラのような同盟国を通じて、数十年にわたってレバノンに影響力を及ぼしてきた中東全域における歴史的な変化を背景に、今回の投票が行われる。
その変化を反映して、ヒズボラとその同盟者であるナビーフ・ビッリー議長率いるシーア派アマル運動は、過去2年間公言してきたスレイマン・フランクヒ氏を候補者とする主張を撤回し、対立の少ない人物を候補者として擁立する構えであると、両者の考えに詳しい3人の政府高官が語った。
有力候補としては、レバノンの政治家たちから米国の支持を受けているとされる軍司令官のジョゼフ・アウン将軍、元財務大臣で国際通貨基金(IMF)高官のジハード・アズール氏、国家治安機関である一般治安局の局長であるエリアス・アル=バイサリ中将などが挙げられている。
暫定首相のナジーブ・ミカティ氏は、首相府の声明によると、「神のご加護があれば、明日には新しい大統領が誕生する」と述べ、喜んでいると語った。
また、フランスのジャン=ノエル・バロ外相はラジオ局フランス・アンテルの番組で、今回の選挙は「この平和のダイナミズムを継続させるための前提条件」であり、またレバノンの経済および社会の復興にも不可欠であると述べ、期待を表明した。
しかし、情報筋2名とアナリスト1名は、いずれの候補者も確実に当選するとは言えないと警告した。候補者が当選するには、第1回投票で86票、第2回投票で65票を獲得しなければならない。
ヒズボラの影響力は依然として大きいと見られている
ビッリー氏は、レバノン軍のトップであるアウン氏は、現役の公務員であるため、同氏の当選には憲法改正が必要であり、やはり86票が必要になると述べた。
米国務省の報道官は、「次期大統領の選出はレバノンの問題であり、米国やその他の外部勢力が関与する問題ではない」と述べた。
「レバノンが新しい大統領を選出するよう、レバノンに働きかける努力を一貫して続けてきた。これはレバノンの政治機構を強化するために重要だと考えている」と、同報道官は述べた。
ヒズボラのワフィーク・サファ幹部は先週、アウン氏に「拒否権はない」と述べた。しかし、情報筋によると、米国がテロ組織に指定しているヒズボラは、アウン氏を支持しないという。
アウン氏は、11月にワシントンとパリが仲介した停戦を強化する上で重要な役割を担っている。その条件では、イスラエル軍とヒズボラが軍を撤退させるのに伴い、レバノン軍がレバノン南部に展開することが求められている。
2019年の財政破綻からまだ立ち直れていないレバノンは、再建のために外国からの支援を切実に必要としている。
被害の多くは、シーア派が多数派を占める地域で発生している。
アサド追放によりイランからの補給路を絶たれたヒズボラは、レバノンへのアラブおよび国際的な支援を強く求めている。
ヒズボラの武器が長年対立の火種となってきたレバノンで、大きな勢力図の変化があった後でも、誰かが選ばれるとは限らないと、アンナハル紙の副編集長ナビル・ブモンセフ氏は確信していた。
ヒズボラとアマル党が今もなお影響力を行使していることを強調し、大統領が選出される唯一の方法は、両者がアウン氏またはアズール氏に同意することだと彼は述べた。しかし、彼らが自分たちの望む候補者を据えようとした場合、それは「レバノンから酸素を奪う」ことになるだろう。
サウジアラビアのファイサル・ビン・ファルハーン大臣は昨年10月、リヤドはレバノンから完全に手を引いたことはないが、他国がレバノン人に何をすべきかを指示すべきではないと述べた。
ロイター