• 政府当局が悪化を続ける経済危機への対処および新型コロナウイルスのアウトブレイク抑え込みに苦心するなか、今回の一連の攻撃はこの数週間で最も多くの死者を出す結果となった。
• ISILの残党はイラク中央政府と北部のクルド人自治区との領土紛争によって生まれた治安のギャップを利用してきた

バグダッド：治安当局は2日、サーマッラーの中心都市で起きたダーイシュ（ISIL）の戦闘員による夜間の組織的攻撃により、少なくともイラクの民兵10人が死亡したと発表した。

この攻撃により、かつてはイラク広範囲にわたる地域を支配していた過激派組織ISILが復活を目論んでいるのではないかという懸念が高まった。
軍および主にシーア派の民兵で構成される傘下組織として政府と同盟を結んでいる国民動員軍（PMF）は、それぞれ独自の声明によってこの攻撃が行われた事実を認めた。

政府当局が悪化を続ける経済危機への対処および新型コロナウイルスのアウトブレイク抑え込みに苦心するなか、今回の一連の攻撃はこの数週間で最も多くの死者を出す結果となった。

イラクは多大な犠牲を伴う3年間にわたる戦いの末、2017年12月にISILに対する勝利を宣言した。ISILは最盛期にはイラクおよび隣国シリアにまたがる約3分の1の領土を支配し、その統治はイスラム法の厳格かつ暴力的な解釈に基づいて行われた。

この数カ月、ISILの残党はイラク中央政府と北部のクルド人自治区との領土紛争、および計画的に行われた米軍の撤退によって生まれた治安のギャップを利用してきた。

新たに首相に指名されたムスタファ・アル=カディミは、採決を受けるために自身の内閣を議会に提案する予定となっている。同首相はツイッターで発表した声明で、殺害された民兵の家族に哀悼の意を示した。

「彼らの血が無駄になることはありません」同首相は声明でそう述べた。「我が国の治安部隊は、この国の領土からおぞましいテロリストを一掃するまで彼らの追跡を続けます」

先週、キルクーク北部の街にある情報当局を標的として、この数カ月では初となる自爆テロが起き、少なくとも治安部隊3人が負傷した。

PMFは、1日深夜にティクリート南部の村であるメキーシュファで発生した直接攻撃により、民兵6人が死亡したと発表した。また、増援部隊が応援に向かうなか、路上に仕掛けられた爆弾によってさらに3人が死亡した。また、近隣のタル・アル=ダハブ村で1人が射殺され、犠牲者は合計で10人となった。

今回の組織的攻撃は、首都バグダッドから北に約95キロの地域で発生した。