
ロンドン:ガザ地区で活動する米国人の外科医が、病院の悲惨な状況を説明し、医療用品や機器の不足によりパレスチナ人患者が死亡していると述べた。
アル・アクサ病院とナーセル病院で3週間患者の治療にあたったマーク・パールマター医師は、BBCの取材に対し、医師たちは石鹸や抗生物質、X線設備もないまま手術を行っていると語った。
「小さなコミュニティ病院であるアル・アクサ病院は、私の故郷にあるどの施設の10分の1の規模であり、おそらくそれよりも小さい。しかし、その病院はひどい負傷者の治療をなんとかこなしている」と、パールマター医師はパレスチナ自治区への2度目の訪問後に放送局に語った。
「しかし、設備が不十分なため、多くの患者が亡くなった。設備の整った病院であれば、確実に助かったはずだ」
彼は、自転車に乗っていたところをイスラエルの機関銃掃射に遭った15歳の少女や、北部からの避難勧告を受けて祖母と一緒に車に乗っていた同年の少年など、重傷を負った子供たちの治療について語った。
「2人ともアパッチ攻撃機の銃撃で体中が焼けただれ、ズタズタに引き裂かれていました」とパールマター氏は述べた。「少女は3本の四肢を残せれば幸運でしょう」
パールマター氏は、イスラエル軍の空爆によりハマスの財務責任者イスマイル・バルフム氏が狙撃された際、ナーセル病院内にいた。
同氏は、バルフム氏は医療治療を受けており、ジュネーブ条約により保護される権利がある、と述べた。イスラエル軍は、同氏が「テロ行為を実行するために」病院にいたと発表した。
ガザ地区のほとんどの病院が機能不全に陥っている中、パールマター氏は、自分と同じような外国人医師の努力をはるかに超える献身的な働きをしているパレスチナ人医療スタッフを称賛した。
「彼らは皆、家族を犠牲にしてボランティアとして働き、無報酬で働くことも多い。我々は1か月で家に帰れるが、彼らはそうではない」と彼は述べた。
国連の人道問題担当官トム・フレッチャー氏は、ガザ地区の状況を「悲惨」と表現し、国境検問所で依然として人道支援物資が阻止されていることを指摘した。
イスラエルの猛攻撃により、ガザ地区のパレスチナ人の子供1万5000人以上が死亡したと、ハマスが運営する保健省は発表している。また、イスラエルが3月18日に停戦を破り、空爆を再開して以来、921人のパレスチナ人が死亡したと付け加えた。
パールマター氏は、イスラエルの攻撃が続けば、緊急の医療物資が不足している病院で、治療可能な負傷により多くのパレスチナ人が命を落とすことになるだろうと警告した。