
アラブニュース
アンカラ:ツイッター社はトルコ与党の公正発展党(AKP)に関係した7,000以上もの「なりすましや乗っ取られた」アカウントを削除した。
木曜日夜に削除作業が行われた。削除されたアカウントにはAKPの青年部との繋がりがあった。
「ネットワークの一連の技術的指標とアカウントの挙動を基にした当社の分析によれば、これらなりすましアカウントや乗っ取られたアカウントの一群はAKPにとって都合の良い政治的見解を拡散するために使用され、レジェップ・タイイップ・エルドアン大統領への強い支持を示していました」とツイッター社は述べた。
これらトルコのアカウントが「プロパガンダの喧伝や、誤情報の流布、政府批判への攻撃を行うためのネットワーク化された反響室」としてツイッターを利用していたことが明らかになった。
トルコ大統領は強い語調でツイッター社の処置を非難する声明を発表し、同社の主張は無根拠で政治的意図に基づくものだと断じた。
「米国に拠点を置く企業が科学的データを用いることで正当性があるかのように装いつつイデオロギー的なアプローチのマーケティングを試みた歴史的な不祥事である」と大統領は述べ、このような処置はトルコの内政を国外から方向付けることを目的としていると付け加えた。
ボットの使用や身元偽装によるアカウントの乗っ取り、類似した多数のユーザーネーム、親政府的なリツイート連鎖といった、トルコの一部のアカウントにおいて顕著だった組織的な活動は、同国の二極化した政治情勢下で注目の話題だった。
組織化されたアカウント群は、反体制的な意見や組織に対してしばしば大規模なハッキング活動を実行する一方、越境介入、特にシリアとリビアに対するに対する介入への国内支持の強化を図っていた。
ツイッター社は、ロシアの1,152アカウント、中国の23,750アカウントに対しても同様の処置を講じた。ツイッター社の規定に従って、これらのアカウントそれぞれとその内容は永久に削除された。
NewsLabTurkeyの編集長で、イスタンブールのカディル・ハス大学に籍を置くサルファン・ウズノグル博士は、ツイッター社の今回の処置は、政府系または政府出資の虚偽情報ネットワークへのソーシャル・ネットワーク・プラットフォームによる対抗措置としてはもっとも力強いものの1つに数えられると述べた。
ツイッター社がスタンフォード・インターネット・オブザーバトリーと共有した情報によると、3,700万のツイートから成るネットワークがAKPを支持、宣伝しつつ、野党、特に親クルド系住民の国民民主主義政党(HDP)や最有力野党の共和人民党(CHP)を非難していた。
「今回の削除処置の対象には集中管理下に置かれた乗っ取り済みアカウントが含まれ、これらのアカウントはAKPの応援に使われていた」と、ツイッター社のリポートには記されている。
ウズノグル博士は、今回の削除処置の決定は、そうした国々での今後の事業展開を困難にしてしまう可能性があったため、ツイッター社にとっても苦渋の選択だったはずだと述べた。
「ご記憶されているかと思いますが、最近、トルコ政府はソーシャル・ネットワーク各社に対して、支社をトルコ国内に開設するか現地代理人を指名することを目的とした法律を通過させようとしました」とウズノグル博士はアラブニュースに語った。「政府は譲歩しました。しかしながら、ツイッター社の今回の処置により情勢がさらに複雑化してしまったかもしれません」。
ウズノグル博士は、トルコの地方自治体の資金が親政府的な偽草の根運動に流用され、政策や団体、個人についての虚偽の肯定的な印象が支持強化を目的として組織的に形成されていた点を付け加えた。地方選挙において対立候補が勝利した後、そうした偽草の根運動が下火になったことがあったと博士は指摘した。
「とは言うものの、与党が、メディア・プロパガンダにおいて、政府関連の異なる団体組織を通じて、または与党自身として、依然偽草の根運動を行っていることが知られています」。
ウズノグル博士は、トルコの国家プロパガンダが特にWhatsAppやTelegramを通じて依然継続していることから、与党のメディア利用が今回の処置で致命的なダメージを負ったとは考えていない。また、AKPのプロパガンダを喧伝する現政府支持者をツイッター社は考慮に入れていない。
「ゲジ公園における2013年の抗議運動の間、数名のトルコ人研究者たちが、簡単なネットワーク分析を通じて親政府ネットワークの存在を暴露しました。研究者たちはこのネットワークの設立者名さえ突き止め、いかにこの活動が行われているのかについて詳細を明らかにしたのです。しかし、今回の措置では、こうした人々のアカウントはツイッター社の削除を免れ、その多くは現在でも親政府的なプロパガンダを行っています。そのようなアカウントを削除してしまうことは、表現の自由についてのツイッター社の方針に反するからです。それはしかし同時に、ツイッター社の大目標である、虚偽情報の流布と国家支援によるプロパガンダとの戦いの有効性を減じてしまっています」。
ウズノグル博士によれば、トルコのツイッター・アカウントに対して行われた今回の処置はトルコ市民が既に知っていたことの裏付けになったという。
「国の資金を使用してSNSにおいてプロパガンダを行っているネットワークがトルコにはあります。つまり、実際のところ、誰もが知っている秘密を口に出して話す機会が今回得られたというわけです。この件について捜査できる司法機関はありません。いずれの国家機関もこの点に関しては透明性を持ち得ません」。
インターネットでの挑発的な言説は概ねAKP関連のコラム執筆者や国政レベルの政治家、官僚によるものだとイスタンブール・ビルギ大学のコミュニケーション学教授のエルカン・サカ氏は述べた。
「ボットは言説の拡散に有用ではりますが、特に効率的というわけではありません」とサカ教授はアラブニュースに語った。「そういう意味では、今回のツイッター社の処置は何もしないよりは良いとしても、遅きに失していて、非常に効果が高いとは言えないと思います」。