• 国民は反不正政策で共産党と手を組むシーア派リーダーの元民兵組織指導者モクタダ・サドル師を支持し、主要政党を見放した。

バグダッド：イラクは次の国会議員選挙を1年近く前倒しすると首相が発表した。彼は政権就任時の公約を果たそうと模索している最中だ。

「次の国会議員選挙の日は2021年6月に決定した」とムスタファ・アル・カディミ首相は述べた。何カ月もの抗議運動で前首相が辞任に追い込まれた後、5月に彼は政権に就いた。

「不正に抗議してこの選挙を成功させるためにあらゆることをする」とカディミ首相はテレビ演説で述べた。イラクの選挙は時として暴力により損なわれることがあり、不正は頻繁に横行する。次の国会議員選挙は当初、2022年5月に予定されていた。
しかし10月に何カ月にも及ぶ抗議活動が勃発し、何千もの人々がバグダッドやイラク南部地域の通りに繰り出した。

デモ抗議者たちは、風土的な汚職や多くの人々が派閥利害の悪影響だとみなすものを指摘し、政治体制の解体を要求した。

カディミ氏は、アデル・アブドゥル・マハディ前首相が辞任して何カ月も空白が続いた後、4月に指名された。2003年の米国主導によるイラク侵攻以来、首相が任期を満了することなく辞任したのはこれが初めてだった。カディミ政府は木曜、10月からの抗議者たちの総死亡者数は560名に上ると述べた。

そのほぼすべてが治安部隊に殺害されたと大統領顧問は述べている。

アブドゥル・マハディ政府は新選挙法案を議会に提出し、それは昨年末に素早く通過した。しかし選挙の手続きや区割りの詳細に関する項はまだ決着がついていないと外交官や専門家たちは述べている。常に判断が偏っているとして非難されるイラク選挙委員会の選挙開催における役割も明確ではなかった。

イラクに派遣されている国連監視団はカディミ氏の発表を歓迎し、「早期の選挙により、イラクの安定化と民主化に向けての鍵となる国民の要求がかなえられる」と声明で述べた。

「不正に抗議してこの選挙を成功させるためにはあらゆることをする」

イラクのムスタファ・アル・カディミ首相

「国民の信用を得られる、自由で公正で信頼のおける選挙を実施すべく、国連はイラクから求められれば支援や専門的助言を提供する準備がある」

2018年の選挙は公式数値44.5%という記録的な低投票率に終わった。独立系観測筋によれば真の投票率はそれよりはるかに低かったとみられる。

投票者たちは、反汚職政策で共産党と手を組んだシーア派リーダーの元民兵組織指導者モクタダ・サドル師を支持し、大きな政党を見放した。

イラクは今年、米国が1月に無人戦闘機でバグダッドを攻撃してイラン最高司令官カセム・ソレイマニ氏とイラク司令官アブ・マフディ・アル・ムハンディス氏を殺害した後、米国とイランの間で高まる緊張の渦中にあった。

イラクは、何カ月にも及ぶ政治危機だけでなく、新型コロナウイルス感染拡大が国家経済生命線の原油需要に及ぼす影響による深刻な景気低迷にも取り組んでいる最中だ。

AFP