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レバノンのデモ、9日目突入で暴力化進む

26 Oct 2019 02:10:51 GMT9

Tarek Ali Ahmad

  • シーア派ヒズボラとアマル運動支持者によくある黒いTシャツを着て「ナスルッラーフ、あなたの使命を心に留めた」と叫ぶ男たち
  • 銀行、大学、学校は金曜日も閉鎖状態が続いた

ベイルート:ヒズボラ議長ハサン・ナスルッラーフのスピーチを受け、ヒズボラ支持者、抗議者、機動隊の衝突が発生し、9日目に突入したレバノンの反政府デモは一気に加速した。

両者が互いに発射物を投げ合い、数人が負傷。ベイルートの殉教者およびリヤード・アッ=スルフ広場で、人々がレバノン土産の売店や屋台を設置していた同日の朝から劇的な変化となった。

サード・ハリーリー首相がその前に行った演説と似た内容とされるナスルッラーフのスピーチの後、両者間に入って飛び交う発射物を阻止しなければならなかった。

「ハリーリー、ナスルッラーフ、アウン、バシール。彼らはみな同じです。」と抗議者の1人アラー・モルタダー氏はArab Newsに話した。

そして「彼らが何をしているか見てください。私たちは同じレバノン人じゃないですか。こうならないよう、政治を宗教は切り離すべきなのです」と加えた。

ナスルッラーフはハリーリー政権の背後で権力を振りかざし続け、税金なしの予算を政府に発表させたデモを「功績」だと唱えた。

「我々は大統領制の打倒は受け入れない。また政府の退陣も支持しない」と主張したうえで、「レバノンは危険な時期に入りました。我々の国が世界や地域の大国から政治的な標的となる可能性があります。」とした。

スピーチの最後には支持者にデモをやめるよう訴えた。衝突では複数の人々が逮捕された。

木曜日の夜にも似たような乱闘が同じ場所で発生した。

乱闘を受け、マスクと警杖を手にした機動隊が事態収拾のため、緊張が高まっていた広場に追加配置された。

レバノン各地の町や都市に殺到し、銀行や学校を閉鎖させたデモ隊は、体制全体の腐食を非難し、内閣総辞職を求めている。

デモは終夜続くと見られる。

近年最大となるデモで数十万人がベイルートや他の都市を占領した日曜日から規模は縮小したものの、週末にはまた人数が増える可能性がある。

主に宗派主義に基づくレバノンの政党は、キリスト教徒、イスラム教徒、シーア派、スンニ派、ドゥルーズ派を巻き込んだ、様々なコミュニティが交差するデモに不意打ちを食らってきた。

抗議者は、デモで通常掲げられる政党色ではなくレバノン国旗を振りかざし、レバノンの政治指導者全員の辞職を要求している。

人々の怒りを抑えようと、サード・ハリーリー首相が経済改革を推し進める一方、ミシェル・アウン大統領は木曜日、要求についてデモ隊の代表者と協議することを提案した。

だがこれらの措置は、選挙への道を開くため内閣総辞職を求めるデモ隊によって一蹴された。

「私たちは要求を実現してこの国を良くするため、デモを続けます」とエッサムとだけ名乗った抗議者の1人は話す。

30歳の医療管理者であるエッサム氏は、「私たちはこの政権崩落を望んでいます。人々は飢えていて、私たちの前には他の解決策はありません」という。

金曜日の朝、抗議者らは再び空港や第二都市トリポリ、また北部へ続くベイルートの主要高速道路を閉鎖した。

ベイルート北部の高速道路ではデモ隊が車道の中央にテントや露店を設置した。

だが道路を再開しようとする軍隊の動きは見られなかった。

早朝までデモが続いたベイルート中心部では、ボランティアグループが集まりゴミを拾っていた。

「私たちは街を掃除し、国も一掃するのです」とボランティアのアハメッド・アッシ氏は語る。

「午後に参加して、次のステージが何かが分かります」と衣料品会社に勤める30歳の彼は話す。

レバノンのヒズボラ寄りのAl-Akhbar紙は、「カオスの危険」という見出しで、ヒズボラは閉鎖された道路の再開に努めることを約束したと伝えた。

ヒズボラは大規模で厳しく訓練された軍事組織を持っている。

27歳でNGOのリサーチャーを務める活動家、ファレス・アル=ハラビ氏は、「レバノンの政党はデモに入り込み、圧力をかけたり分裂させようとしたりしています」という。

レバノンは1990年までの破壊的な内戦に耐え、現在の政治リーダーの多くは元市民軍指揮者であり、彼らは宗派のつながりによってリクルートされた。

行き詰まりの状態が続くトップの派閥争いが経済悪化への対策を妨げる一方、8年に及ぶ隣国シリアの内戦が更に危機を膨らませている。

世界銀行によると、レバノン人口の4分の1以上が貧困層だという。

戦後の政治体制は無数にあるレバノンの宗派間の対立する利害関係に均衡をもたらすはずだったが、それは宗派に沿った権力を固める結果となった。

ロイターの記事を参考にしています。

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