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米国、エビン刑務の所長を含むイラン人14名を入国禁止

2020年8月20日、ニューヨーク国連本部、イランが核合意を順守していないとの疑惑を扱った安保理会合の場を去るアメリカのマイク・ポンペオ国務長官。(資料写真/AFP)
2020年8月20日、ニューヨーク国連本部、イランが核合意を順守していないとの疑惑を扱った安保理会合の場を去るアメリカのマイク・ポンペオ国務長官。(資料写真/AFP)
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22 Aug 2020 03:08:17 GMT9
22 Aug 2020 03:08:17 GMT9
  • マイク・ポンペオ国務長官は、ホジャトラ・コダイ・スーリ所長が政治犯の拷問を指揮・監督していると述べた
  • 国務省はそれ以外の入国禁止対象者の名前を明かさなかった

レイ・ハナニア

シカゴ: アメリカのマイク・ポンペオ国務長官は8月21日、イラン政府関係者14名とその家族の入国禁止令を出した。14名は人権侵害に関与しているとして非難されている。

入国禁止の対象者は、1990年にスイスで起きた暗殺未遂事件に関与した匿名の人物13名に加え、イランの悪名高いエビン刑務所のホジャトラ・コダイ・スーリ所長だと、ポンペオ長官は述べた。スーリ所長の指揮の下、政治犯たちが拷問などの残酷・非人道的・屈辱的な扱いを受けていると付け加えた。

ポンペオ長官は、対象者がすでに入国しているのか、入国を企てたのか、または最近の事件に関与したかどうかについて明言を避けた。しかし今回の動きは「テロ被害者想起と追悼の国際デー(8月21日 記念日)」に関連したものだと述べた。

「アメリカ国務省は、世界有数のテロ支援国家イランの手先として重大な人権侵害に関与したイラン人14名の入国を禁止することを発表する」と語った。

ポンペオ長官は国務省が14名に関し把握している「信頼できる情報」の詳細を明かすのは断ったが、彼らが「重大な人権侵害」に関与していると主張した。

「今回の措置によりアメリカは、世界中に数多くいるイラン・イスラム共和国による犠牲者を支援し、テロと暴力を拡散する人物の責任を追及するというメッセージを送ることになる」と語った。

「米国はイラン政府に対し、敬意と尊厳をもって自国民を扱うよう圧力をかけ続ける。イランは国境を越えて恐怖政治を敷くため、国外で暗殺やテロ活動を実行している」

イラン人13名が「イランの外交官になりすまし」「イラン政府最高指導者の命令のもと反体制派の口を封じる」行動をとり、政権を批判する亡命者を脅迫している、とポンペオ長官は述べた。

「どこに住んでいてもイランの体制から危害を加えられる」と付け加えた。「アメリカは暴力とテロを通じて批判する者の口を封じる、イラン政府のやり方を黙認することはない」

ポンペオ長官は、スーリ所長が入国禁止の対象となったのはエビン刑務所で行われている人権侵害を指揮・監督しているからだと述べた。刑務所では反体制派が監禁され、拷問を受け、殺害されることもあるという。

「エビン刑務所では平和裏にデモをする市民やジャーナリストが弾圧されているだけでなく、外国人が人質として逮捕監禁され本国政府の譲歩を引き出すために利用されている」と述べた。

今回の措置により、14名のイラン人はアメリカとの間で移民・ビザ協定を結んでいる国に渡航することも制限される。

入国禁止令の発表はトランプ大統領が先に出した声明を受けるものだ。大統領は2015年のイラン核合意(正式名称:包括的共同作業計画)を受けて解除された国連制裁を全面的に復活させることを求めている。ポンペオ長官は20日に国連のアントニオ・グテーレス事務総長と安全保障理事会に書簡を渡し、国連制裁の全面復活を要求した。うまくいけば30日以内に制裁措置が復活する可能性もある。

アメリカが提出したイランへの武器禁輸措置を無期限延期するよう求める決議案が先週安保理で否決された。武器禁輸措置は10月に期限を迎える。これを受けトランプ大統領は2015年のイラン核合意に含まれる「スナップバック」条項を発動させようとしているが、トランプ政権は2018年に核合意から離脱している。

スナップバック条項とは核合意を承認した国連決議で定められた仕組みで、この決議に対しポンペオ長官は「一方的に」イランに有利な内容だと非難しているが、合意に署名した国ならどの国でも、イランが合意を順守しない場合安保理に異議を唱えることができる。懸念事項が解決されない場合、核合意前に国連が課していた武器禁輸を含む制裁措置が自動的に復活することとなっている。

トランプ政権は核合意を離脱しても「スナップバック」条項を発動する権利を有すると主張している。しかし他の安保理理事国のほとんどはアメリカがもはや核合意の当事者ではないため、権利は消失したとの見解だ。

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