
カイロ: スーダン暫定政府と反政府の動きが強い南部の大半を支配する主要反政府勢力が、和平交渉再開に合意したと9月4日発表した。これにより数十年に渡る内戦が終結に向かうとの期待が高まっている。
今回の合意成立は、失脚したオマル・バシル前大統領の統治により生じた紛争を収束させるべく、暫定政府が他の各反政府勢力と合意した数日後のことだ。
アブデルアジズ・アルヒル議長率いる「スーダン人民解放運動・北部」とスーダン暫定政府のアブダラ・ハムドック首相は、3日遅くにエチオピアの首都アディスアベバで合同覚書に調印し、紛争を「包括的・公正・政治的に解決する方策」を探ることが「不可欠」だと強調した。和平協議の再開時期は明記されなかった。
暫定政府が昨年4月に軍事クーデターで政権を握った後、民主化を求める抗議デモが始まり数カ月が経過した。スーダン奥地で続く紛争を終結させるのは暫定政府にとり死活問題だ。厳しい財政状況が続き、暫定政府は国家予算の80%を占める軍事費を削減する必要に迫られている。
アルヒル議長率いるスーダン人民解放運動北部(SPLM-N)は単一の組織としてはスーダン最大の反政府勢力だ。SPLM-Nは過去の和平交渉に参加してはいたが、新たな統治機構であるスーダン最高評議会の正当性を頑なに認めなかった。評議会には文民と軍部両方の指導者が参加し、バシル前政権出身者も数名いる。
SPLM-Nは他の主要反政府勢力1つと共に、今週初めに南スーダンで暫定政府と反政府組織連合「スーダン革命戦線」との間で交わされた合意に署名せず、現地で和平実現に向けた意味ある変化が起きる見込みが薄らいでいた。
さらにSLPM-Nは、要求が満たされない場合、支配下の広大な地域での民族自決権を要求すると脅してきている。およそ1年近く紆余曲折を経て続いてきた和平交渉で、暫定政府が常にバシル政権の「問題先送り」戦術を使っていると、アルヒル議長がほんの数日前非難したばかりだ。
今後の交渉を進める土台を築くべく、アルヒル議長とハムドック首相は過去に合意形成の妨げとなってきた政治的諸問題に関し、原則的に合意するに至った。
共同声明では、スーダン新憲法が「政教分離の原則に基づくものであるべき」とあり、世俗主義を強く掲げるSLPM-Nの長期にわたる要求が認められた。さらに、新たな安全保障体制を定める協定が結ばれるまでSLPM-Nが武器を保有し続けることで、双方が合意した。
アルヒル議長が率いるSLPM-Nは内戦で傷ついた青ナイル州と南コルドファン州の大部分を支配している。ここにはバシル政権下で長らく差別の対象となってきた少数派キリスト教徒が相当数暮らしている。
バシル前大統領が政権を握っていた30年間に、スーダン政府はイスラム法に基づく統治をスーダン全土に広げた。このためイスラム教を信じる多数派アラブ系住民が暮らす北部と、キリスト教や伝統宗教を信じるアフリカ系住民の多い南部では緊張が高まり、悲惨な内戦へと至り、最終的には2011年に南スーダンが分離独立した。
AP