
フランク・ケイン
ドバイ:ラビ・イッサシャー・クラクフスキー氏は、今後新たに正常化される関係を強化するために、先月イスラエルとアラブ首長国連邦(UAE)の歴史的会談のために、アブダビに居合わせた。しかし、ユダヤ人代表団の多くの者たちとは異なり、これは同氏の湾岸諸国への初めての旅ではなかった。
「私は以前、数度UAEに旅行したことがあり、今年にはサウジアラビアにも行きました」と、同氏はアラブニュースに語った。
クラクフスキー氏はテルアビブを拠点とするアメリカ市民であり、テルアビブでユダヤ人の食品認証機関、正統ユニオンコーシャ(OUコーシャ)のイスラエルによる業務を調整している。
ニューヨークを拠点とするOUコーシャは、ユダヤ人食事客に提供され、食べられる食品がコーシャ規定(つまり、同機関が2,000年続いてきたしきたりを、確実に守らなければならないようにする複雑な宗教的戒律を体系化したもの)に適合していると認証することを目的としている。
コーシャはイスラム教のハラール規則と類似点が多いので、いくつかの湾岸諸国で製造され、認証されている食品が欧米やさらには、今までは遠回りして、イスラエルにも輸出されているのは全く驚くに当たらない。
アブダビでの画期的な2日間の訪問中、クラクフスキー氏はイスラエル代表団のコーシャ要求事項を見守り、主催するUAE側の組織効率に感銘を受けた。
「台所設備、支度、刃物類さえ分けられており、これは複雑なプロセスですが、どの客がコーシャの食事を望むのかを示すための、まさに「K」と印の付いた座席表に至るまで、うまく組織化されていました。実際にコーシャ食品は、私たちが必要とした量の2倍ありました」と、クラクフスキー氏は語った。
クラクフスキー氏は元アメリカ国務省関係者の息子であり、世界を旅したが、中東で感じた「真のもてなし」には常々感銘を受けてきた。
「ヘブライ語とアラビア語の間に、そして屠殺儀式や豚肉の禁止など、コーシャ食品とハラール食品の間に、類似点が多くあります」と、同氏は語った。
「しかし、私の意見では、コーシャには複雑なことがたくさんあり、こうしたことを当てはめようとして、重要でないことに拘り過ぎているのです。これは一連のとても古く、厳格な規定なのです」と、同氏は付け加えた。
「私たちはUAEと中東のその他の地域のハラール機関と、もっと密接に連携したいと思っています」
OUコーシャは今週、UAEの指導者からの要請を受けて、同国で筆頭のコーシャ認証機関になったと発表した。
同機関はUAE中のホテルで、コーシャ食品のあらゆる手配や、COVID-19のパンデミックのために来年まで延期になった2020年ドバイ万国博覧会のようなイベントの監修を行う見込みだ。
OUコーシャは世界中100カ国の食品製造工場10,000カ所で、100万種類以上の食材を既に認証している。
UAEとその他のアラブ諸国との外交、旅行、ビジネス関係が正常化する見通しに関して、イスラエル側に昂奮した気持ちはある、とクラクフスキー氏は語った。
「私たちは長い間それを楽しみにしてきました。アブダビでの会談で、お互いに恩恵を得られるという現実感がありました」と、同氏は語った。
テルアビブ・UAE間のフライト乗客の多くが、既に湾岸諸国で新たなチャンスを求めているビジネス関係者でした。
食品を超えて、クラクフスキー氏はテクノロジー、医療サービス、農業、不動産、そして勿論観光における事業領域から、恩恵を受けられるだろうと思っている。「たくさんのUAEの人々が、豊かな歴史を持つイスラエルにきっと訪れたがるでしょう」と、同氏は語った。
その他の湾岸諸国も、イスラエルとの関係正常化をするUAEの例を見習うと、同氏は考えているのか。そうは考えているが、恐らくもっと遅いペースでそうなるだろうと思っている。
「UAEがこんなことするなんて、1カ月前でさえ、誰も思っていなかったでしょう。しかし、サウジアラビアなどその他の国の場合、もっと先のことになると思います」と、同氏は語った。
「彼らが私たちと上手くやっていきたいと考えているとは思いますが、正式な動きとなるにはある程度時間が掛かるかもしれません」
OUコーシャはユダヤ人組織の正統ユニオン(OU)の認証機関として、アメリカでほぼ1年前に設立された世界最大規模のコーシャ機関だ。
アル・ハブトゥール・グループを始め、UAEのホテル経営者の中には、関係正常化の後、ユダヤ人旅行者やビジネス関係者が押し寄せる可能性に期待して、自らのホテル内でコーシャメニューを導入することを検討している者もいる。