• ヨルダンのオマル・ラッザーズ首相は9日、政府と軍との間の覚え書きの署名を監督した。

Daoud Kuttab

アンマン：ヨルダンは、国の失業対策の一環として、25歳から29歳までの男女を対象に、1年間の徴兵を開始する予定だ。

そして、この計画の条項の下、徴集兵は心を集中させるために携帯電話の使用を禁じられる。

ヨルダンのオマル・ラッザーズ首相は9日、Nidal Bataineh労働大臣とヨルダン軍統合参謀本部長Yousef Huniti少将立ち会いの下、政府と軍との間の覚え書きの署名を監督した。

覚え書きの条項の下、男性は3カ月間の軍事訓練を受け、全徴集兵は技術訓練を受け、残りの9カ月、民間部門に配属される。

軍は徴集兵に月100ディナール（141ドル）を支給し、民間企業で任務を務めたときには、最低賃金である220ディナールまで補填する。

徴集兵は社会保障制度にも加入し、家族医療保険に加入していない者は徴兵期間中補償される。軍事訓練中と兵役中、徴集兵は携帯電話の使用を禁止されるが、月末の休暇は許可される。

Bataineh氏によると、徴兵命令は1986年の法律に基づいており、1995年生まれで、呼ばれたときに非労働者、海外在住者、学生、世帯主、一人息子だった者に適用される。

「国民兵役は、国家のアイデンティティを強化し、規律の文化を創造し、新しい技能を習得する機会を提供し、これらの若者が労働市場に加わることを可能にするでしょう」

「フェニックス経済情報学研究センター」のAhmad Awadセンター長はアラブニュースに対し、長期的な解決策が必要な問題であるのに、この計画では短期的な処置にしかならない可能性があることを懸念していると語った。

「ヨルダンの失業問題の解決を真剣に考えるのであれば、抜本的で痛みを伴う改革によって取り組まなければなりません」と同氏は述べた。

ヨルダン人が建設や農業といった部門で仕事に就くためには、構造改革として賃金や労働条件の改善が必要だろう、と同氏は指摘した。

Awad氏は、軍隊にいることで考え方が変わり、文化的タブーを破る可能性があると指摘した。「しかし、これは一時的なものでしょう。1年が終わるとすぐに、彼ら（徴収兵）は元の習慣に戻るでしょう」

ヨルダン上院議員で元大臣のWajih Oweis氏は、失業中のヨルダン人に仕事に就く準備をさせるには、教育の統制のされ方を大きく変える必要もあると述べた。

「2016年に政府は、今まで実施しなかった、大幅な教育戦略を承認しました。その戦略は、職業訓練に参加するヨルダン人を毎年3～4%増やし、大学入学者数を同じくらい減らすことを目指しています。現在の大学進学率は95%と過剰で、職業訓練を受ける人はわずか5%。それを大学生60%、残りは職業訓練を受けるようにするのが目的です」

ヨルダン軍の元少将Imad Maayah氏はアラブニュースに対し、この決定は政府による「すばらしい」一手だと語った。

「3カ月の訓練期間は、若者に秩序正しい方法で人生を振り返らせるチャンスです。軍隊が彼らからスマートフォンを取り上げ、彼らが自分自身と祖国について考えることができるよう願っています。私たちの国に必要なクリエイティブな人材が見つかると確信しています」

アラブ女性機構のLayla Nafaa議長は、徴兵はヨルダンの女性に、切望していた就労の機会を与えるだろうと述べた。「これは、彼女らを社会・経済的に自立させ、経済を壊滅させた新型コロナウイルス感染症（COVID-19のパンデミック）によって悪化した、雇用におけるジェンダーギャップを埋めるでしょう」

ヨルダンの元空軍少将Maamoun Abu Nawwar氏はアラブニュースに対し、人々は栄光や価値、国への奉仕のために軍隊に加わると語った。「ですが、新しい人間になるために軍隊に入る人もいます」

「軍隊は規律を教え、文化的タブーを破り、労働倫理と人の道を教え、徴集兵を責任ある市民にします」と同氏は述べた。