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トルコの当該地域での行動は近隣諸国にとって「一触即発で危険」とキプロス特使

キプロスの国連常任代表アンドレアス・マヴロヤニス氏。(写真提供:キプロス国連代表部)
キプロスの国連常任代表アンドレアス・マヴロヤニス氏。(写真提供:キプロス国連代表部)
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26 Sep 2020 02:09:32 GMT9
26 Sep 2020 02:09:32 GMT9
  • キプロスの国連特使は拡張政策を非難し、トルコに対し、国際法に違反する活動を控えるよう要請

Ephrem Kossaify

ニューヨーク:キプロスの国連常駐代表アンドレアス・マヴロヤニス氏によると、トルコは「拡張政策・帝国主義政策」に積極的に関心を抱いており、近隣諸国にとって「非常に、非常に一触即発で危険な」問題を引き起こしている。

トルコとギリシャは数十年もの間、キプロスをめぐって争ってきた。1974年、ギリシャを支配していた軍事政権は、キプロス島をギリシャに編入するためにクーデターを起こした。これに対し、トルコはキプロス島北部を侵略し、支配した後、一方的に北キプロス・トルコ共和国の樹立を宣言した。

約50年後、ギリシャとトルコの間では緊張が高まり続けており、地中海東部のエネルギー資源の権利をめぐる争いを含む最近の情勢から、両国があからさまな衝突に発展するのではないかという懸念が高まっている。

昨年、トルコ政府はリビア国民合意政府との海上管轄に関する合意に署名し、ギリシャが自国の経済水域だと考えている地中海の海域でガス探査事業を開始した。もっと最近では、トルコは、キプロス政府が多国籍企業に認可した海域の近くに探査船を派遣し、石油やガスの探査を行っている。

「最近この地域では、トルコはより覇権主義的な政策を行っています」とマヴロヤニス氏はアラブニュースの独占インタビューで語った。「全ての隣人に問題をもたらす拡張政策・帝国主義的政策(です)」

「(トルコ人は)既成事実を作ろうとしており、状況は非常に、非常に一触即発で危険です」

キプロスが小国で、軍事力が不足しているということは、トルコの行動に対応する選択肢が外交・政治ルートに限られているということだ、と同氏は認めた。

ギリシャが権利を主張している海域でトルコの探査船「オルチ・レイス」が試掘したことで、地中海東部で緊張が高まっている。(AP資料写真)

「ですが、これが私たち(にとってただ一つの状況)です」とマヴロヤニス氏は言う。「私はそのことを理解し、他の近隣諸国には感謝しています。特に、現在トルコの拡張政策の焦点となっているギリシャには。ギリシャは状況が全く異なります」

「ギリシャは、対応する手段を持っているだけでなく、トルコが今の国際法および海域違反を続ければ、その手段を使わざるを得ません」

8月、トルコが、地中海東部のガス埋蔵量を調査するために探査船を派遣し、海軍の軍艦を同行させたことでギリシャ・トルコ間の争いは激化した。その後のこう着状態の間、ギリシャとトルコの軍艦は小さな衝突に巻き込まれた。

その後、ギリシャは大量の武器購入と国軍の増強計画を発表した。

しかし、この地域でのトルコの活動が影響を及ぼすのはキプロスとギリシャだけではない、とマヴロヤニス氏は述べた。いずれにせよ、エジプト、イスラエル、シリアなど、全ての近隣諸国が影響を受けており、トルコの政策に関してはアラブ世界全体が憂慮すべきだ、と同氏は付け加えた。

フランスはギリシャに味方し、トルコのレジェプ・タイップ・エルドアン大統領に「緊張を引き起こしかねない新たな一方的行為を慎み、地中海での平和地域の構築と協力に曖昧になることなく参加する」よう要請した。

 フランスは、エルドアン氏とエマニュエル・マクロン仏大統領との激しいやりとりでも分かるように、攻撃的な姿勢を取っているが、ドイツは、よりなだめるような口調を用い、段階的緩和と引き換えにトルコにインセンティブを提案している。

「これらの(ヨーロッパの二つの)見解は表裏一体です」とマヴロヤニス氏は言う。「一方はあめで、もう一方はむちです」

「トルコがドイツの申し入れを受け入れ、私たちは段階的緩和に至る。(そうすれば)もちろん関係は改善するでしょう。(トルコ人が)そうしないならば、それなりの結果を招くことが明らかになる(にちがいありません)。(トルコは)ただ乗りはできないということを理解しなければなりません」

徹底した外交努力にもかかわらず、キプロスではトルコ系キプロス人とギリシャ系キプロス人との争いが40年前と同じように緊迫している。両者の交渉は、2017年に決裂したものが最後だ。

キプロスの国際的に認められている政府を率いるニコス・アナスタシアディス大統領は今週、第75回国連総会で演説し、トルコ系キプロス人との再統一交渉再開への決意を再確認した。「しかし、銃を突きつけるのではありません」

キプロスの両者は、昨年11月のベルリンでの国連のアントニオ・グテレス事務総長との会談後、今年4月に予定されていた北部キプロスでの大統領選挙が終わるまで交渉再開を待つことに合意した。しかし、COVID-19のパンデミックの結果、選挙は10月11日まで延期された。

グテレス氏は国連総会の開会の挨拶で、全ての当事者からの信頼回復のための方策の重要性を強調し、地中海東部での戦争の恐怖をさらにあおり立てる可能性のある「一方的行為」をこれ以上しないよう警告した。

「実際の、実質的な交渉を再開するためには、私たちは良い雰囲気である必要があります。強要されて交渉することはできません」とマヴロヤニス氏は言う。

「事務総長からのメッセージは、これです。ルールを守らない者は活動を停止し、交渉を進める必要があります」

「ですから、私たちにとって、(これは)これらの国際法違反およびキプロスの海域での違反を全てやめ、交渉につながる環境を作るようトルコに求める明確なメッセージなのです」

マヴロヤニス氏はまた、米軍が駐留を減らし、軍隊を撤退させることを決めたことによってこの地域にもたらされた苦痛、と同氏が表現したものについて遺憾の意を表明した。これは、同氏が言うには、エルドアン氏を大胆にさせた。

「米国は世界一の大国です」と同氏は述べた。「トルコと米国はNATOのパートナーでもあり、米国は大きな影響力を持っていると私は考えていて、私たちは両国にそれを公使してもらいたい」

「結局のところ、私たちにとって最も重要なことは、世界に自分の場所を確保し、東地中海の平和と安全保障、そして繁栄を促進するために、全ての近隣諸国と途切れることなく協力し続けることです」

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