
レバノン、トリポリ:シリア人が犯したとされる殺人事件をめぐり、シリア人に対する現地住民の敵意が高まったため、少なくとも270人のシリア人家族がレバノン北部の町を去ったと国連難民高等弁務官事務所は金曜日に述べた。
国連難民高等弁務官事務所は「ブシャレの町のシリア人に対する集団での報復」を非難し、多くの家族が恐怖のあまり、持ち物も持たずに逃げたと述べた。
UNHCRの報道官は声明のなかで、「1人の個人が関与した事件に対して、その個人が属するコミュニティ全体に集団で罰を与えるのは容認できない」と述べた。
キリスト教徒が多数を占める町から逃げ出した人々の多くは、月曜日にシリア人がレバノン人の住民を射殺したとして非難され、町全体に緊張と敵意が引き起こり、ブシャレの住民に追い出されたと述べた。
レバノンの公式の国営通信社は、殺人が起きたことでシリア人が強制退去させられたと報じたが、ブシャレの市長はシリア人が恐怖から町を去ったことを否定した。
トリポリのAFP通信の特派員は、北部の都市にあるUNHCRの建物の外に数十人のシリア人家族が集まっているのを目撃した。
5人の母親であるシリア人のウム・カレドさん(31歳)は、ブシャレの若い男性グループが家の中で「私たちを襲い、脅迫し、火をつけました」とAFP通信に語った。
「私たちは子どもたちを連れ、東に40 km(25マイル)以上離れたトリポリに逃げました」と彼女は述べた。
ブシャレに何年も住んでいたシリア人のヤシン・ハッサンさん(30歳)は、男性のグループから殴られたと述べた。
「私たちは家から何も持たずに逃げました」と彼はAFP通信に語った。
トリポリは、レバノンで難民を最も歓迎している場所の1つだ。
経済危機の問題に取り組んでいるレバノンは、国連に難民として登録されている約100万人を含む約150万人のシリア人を受け入れていると述べている。
UNHCRは、トリポリのレセプションセンターで「ブシャレから多数の難民」を受け入れたと述べた。
難民たちは代替住宅を見つけるよう勧められたが、滞在する場所がない人々は避難所に移された、と報道官はAFP通信に語った。
ブシャレで反シリア感情に火をつけることになった殺人の背後にある理由は謎に包まれたままだ。
問題のシリア人の容疑者は当局に身柄を引き渡したと軍は述べた。
司法関係者は、調査がまだ進行中であると述べた。
ブシャレの町長は、この町には1000人近くのシリア人が住んでいると述べている。
当局は、人権団体が戦争で荒廃したこの国はまだ安全ではないと警告しているにもかかわらず、難民にシリアに戻るよう呼びかけている。
AFP通信