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国営銀行が受け入れないので、イスタンブール市は外資に頼る

イスタンブールのエクレム・イマムオール市長は、トルコの国営銀行が次々と同市への融資継続を拒否したと語った。(AFP通信)
イスタンブールのエクレム・イマムオール市長は、トルコの国営銀行が次々と同市への融資継続を拒否したと語った。(AFP通信)
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06 Dec 2020 12:12:55 GMT9
06 Dec 2020 12:12:55 GMT9
  • イマムオール市長を懲らしめようとすることは、裏目に出て、結局トルコの支配者層、とりわけエルドアン大統領に害を及ぼすかもしれない

アラブニュース

アンカラ:トルコの国営銀行が、イスタンブール市への融資継続を拒否したことにより、同市は外国からの融資を求めざるを得なくなっている。

イスタンブールでの記者会見で、イスタンブールのエクレム・イマムオール市長は12月2日、同市が新たなインフラプロジェクトの資金を出すために、国際資本市場に初のユーロ債を発行したと発表した。

イスタンブール市は市内の4つの画期的な地下鉄プロジェクトのために、このユーロ債で資金調達して、5億8,000ドルを確保した。

「外国の資金源と私たちの関係は、これからも続くでしょう。これは別の債券発行か、プロジェクト融資か、もっと別の手段になる可能性もあります」と、イマムオール市長は語った。

イマムオール市長は、世界で2番目のこの過密都市で、交通渋滞を緩和してほしい、というイスタンブール市民からの度々の要請を受けて、2021年は地下鉄プロジェクトに集中すると宣言した。

イマムオール氏は昨年の3月に2度の地方選挙で勝利し、1,600万人の市民の市長に選出されて以来、トルコのレジェップ・タイイップ・エルドアン大統領が所属する与党、公正発展党(AKP)の権力への強力な挑戦者として浮上した。

イマムオール氏が実行してきた地方プロジェクトは、生活に必要なものと関連しているので、今のところ社会のさまざまな階層の人々を惹きつけていた。イマムオール氏はまた、2023年の次の大統領選挙で、エルドアン大統領の挑戦者となることも期待されている。

トルコの国営銀行はこの25年間、AKPが権力を握ってきた自治体を支援してきた後、この自治体を受け入れなかった。  

「エルドアン大統領が、イスタンブール市長選挙で、野党に敗北したことに脅威を感じていることはよく知られています。同大統領は当初、敗北を受け入れず、再選を要求しました。そして、あきれ果てることですが、イマムオール氏がもっと決定的な形で、勝利を収めることになったのです。今やイマムオール氏は、2023年の大統領選で、本格的な競争相手として浮上しています」と、ストックホルム大学トルコ研究所のポール・T・レビン所長は語った。

AKPが国営銀行に対する影響力を使って、野党の市長が市政を行いづらくするというのは、驚くにあたりませんが、最終的にこの代償を払うことになるのは市民です」と、同所長はアラブニュースに語った。

トルコ経済に対するイスタンブールの重要性を考えれば、イマムオール市長を懲らしめようとすることは、裏目に出て、結局トルコの支配者層、とりわけエルドアン大統領に害を及ぼすかもしれない、とレビン所長は警告した。

これとは別に、政府は国海とマルマラ海を人工水路でつなぐことを目指すエルドアン大統領の「クレージーなプロジェクト」と呼ばれている90億ドルのプロジェクト、物議を醸しているイスタンブール運河のプロジェクトを断念しなかった。運河プロジェクトは、地震を引き起こす恐れがあることと、環境・財政的理由で、このプロジェクトに反対を表明してきたイマムオール市長から厳しい批判を受けてきた。

イスラム国(ISIL)関係者が暗殺計画を本気で主張していたことを受けて、イスタンブール市長周辺の警備は最近強化された。

イスタンブールにあるサバンチ大学の政治アナリスト、バーク・エセン氏によると、野党が支配する自治体に融資しない、という国営銀行の決断は、ますます権威には服従させるというトルコの政治体制が、別の意味で表れているという。

「AKP政権は、この国の官僚制を党派心あらわな機械に変えてしまい、同党の基本有権者のために公的資金を使い、野党の有権者を懲らしめています」と、エセン氏は語った。

「自治体が大規模な公共プロジェクトに着手したり、同時に借金を返済したりする十分な資金を持てないようにしていて、これは野党から市長を出さないようにする政府の意図的な戦略です」と、同氏は語った。

同じように、首都アンカラのある高官は、国営銀行がこの首都にも融資継続を控えていることを確認していた。

2019年3月の選挙で、野党の候補者、マンスール・ヤヴァシュ氏は、よく知られていない、人気のない、巨大で時代遅れな公園のような都市計画のために、国営銀行から融資してもらい、継続的に恩恵を得ていたAKPの息のかかった市長たちが統治した25年の都政を終わらせた。

エセン氏によると、このようなプロジェクトによって、自分たちの基本有権者の票が、野党の市長たちに行ってしまうのではないか、そうなれば、AKPの政治的覇権がむしばまれることになる、とAKPのエリート層が考えているという。

「国営銀行は、この戦略のために利用できる便利な道具だ。それどころか、AKPの統治下で、エルドアン大統領に率直に味方する政権側の企業に対する現金自動預払機になってしまいました」と、同氏は語った。

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