
カイロ:パレスチナの外相は12月19日、アメリカの新政権移行に先駆けて、イスラエル・パレスチナ紛争の解決策、二国家解決に基づく話し合いに戻るように、イスラエルに促した。
リアード・アル=マーリキ外務庁長官コメントは、エジプトのサーミフ・シュクリー外務大臣とヨルダンのアイマン・サファディ外務大臣との共同声明で発表された。
この3人の会談後の記者会見で、アル=マーリキ外相は、パレスチナ自治政府(PA)が、1967年の中東戦争でイスラエルの占領した領土にある東エルサレムを首都としたパレスチナ国家の実現に基づいて、アメリカのジョー・バイデン次期大統領と協力するつもりだと述べた。
「私たちはアメリカの新政権と協力・対応する準備ができています。そして、私たちは新政権がパレスチナ国との関係を築き直すだろうと期待しています」と、同外相は述べた。
このパレスチナの外交官は、エジプト政府とヨルダン政府との連携が、「中心点」であり、この中心点がバイデン政権と対応する際の「出発点」を確立することになるであろうと述べた。エジプトとヨルダンは、アメリカの親密な同盟国だからだ。
9月にマフムード・アッバース大統領は、国連決議とイスラエルとの過去の合意に基づいて、「真の和平交渉」を始めるために、来年早々に国際会議の開催を要請した。パレスチナは、アメリカがもはや公正な仲裁者ではないと強く主張しているので、その会議が多国間で開催されるべきだと呼び掛けていた。
パレスチナの折衝者たちは、トランプ政権の下で、非常に多くの挫折を余儀なくされており、アメリカ政府によるイスラエル寄りの偏った措置ばかりだと言って不平を述べてきた。
トランプ大統領は、パレスチナ自治政府を脇に追いやり、エルサレムをイスラエルの首都と認め、アメリカ大使館をテルアビブからエルサレムに移し、パレスチナへの資金援助を削減し、パレスチナが領有権を主張する領土に、イスラエルの入植地をつくったことを合法として方向転換させた。
イスラエルは1967年の戦争で、東エルサレムとヨルダン川西岸地区を占領した。国際社会は両地域とも占領地であると考え、パレスチナは将来の独立国家の1部として、両地域を得ようとしている。
イスラエルは東エルサレムを併合し、これを同国の首都の1部と考えているが、国際社会では認められていない措置だ。
イスラエルは1967年の占領以来、ヨルダン川西岸地区とエルサレムで、ほぼ700,000人のユダヤ人入植者を収容する広範囲に及ぶ入植地のネットワークを建設している。
パレスチナは将来の国家樹立のために、この2つの領土を求めており、入植地を国際法違反であり、和平への障害だと見なしているが、これは国際的な支持を広く得ている見解だ。
イスラエル当局がパレスチナとの「あらゆる合意を順守するというメッセージを初めて」送った後、パレスチナはイスラエルとの安全保障上の調整を再開させた、ともアル=マーリキ外相は述べた。
ヨルダン川西岸地区の大部分を併合するというイスラエルの公約を受けて、5月にパレスチナ大統領は、安全保障上の調整も含めて、PAはイスラエルとの関係を断つと発表した。
会談の後の声明で、3人の外相は、入植地の拡張、数十軒のパレスチナ人住宅の取り壊し、パレスチナの土地の強制収用をはじめとして、イスラエルの「不法措置」に反対する国際的な支援を募るために努力すると述べた。
「これらは、イスラエルによる現地での不法行為であり、包括的な和平プロセスに達するあらゆる機会に影響を与えます。包括的な和平プロセスは、二国家解決でしか実現されません」と、ヨルダンのトップ外交官、サファディ外相が記者会見で述べた。
外相たちは声明で、エルサレムの立場は交渉で解決されるべきだと述べ、イスラエルに「占領国として、エルサレムとその聖地におけるアラブ民族、イスラム教徒、キリスト教徒のアイデンティティーを対象にしたあらゆる違反行為を止めるように」要請した。
大統領官邸によると、アブドルファッターフ・アッ=シーシー大統領も、ヨルダンとパレスチナの外相と会談したという。
エジプトは地域的・国際的な変化を考慮して、イスラエル・パレスチナ紛争に対して、二国家解決に向けて取り組んでいる、と同大統領は声明で述べた。
同大統領はどうやらアメリカの大統領として、バイデン氏の選挙について、そしてアラブ首長国連邦、バーレーン、スーダン、モロッコの4つのアラブ諸国とイスラエルの関係正常化についても話していたらしい。
トランプ政権が巧妙に画策したこうした合意は、パレスチナに再び挫折を味わわせた。
AP通信