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レバノンにて政治争いがエスカレート、「専制政治」への警告

レバノンでは新型コロナウイルスの感染増加を防ぐため、3週間の完全なロックダウンを公表した。マスクをした警察官が検問所で運転手と話している。レバノン南部・マルジャヨーンにて(写真/ロイター)
レバノンでは新型コロナウイルスの感染増加を防ぐため、3週間の完全なロックダウンを公表した。マスクをした警察官が検問所で運転手と話している。レバノン南部・マルジャヨーンにて(写真/ロイター)
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09 Jan 2021 08:01:24 GMT9
09 Jan 2021 08:01:24 GMT9

ナジア・フッサリ

・レバノン国内全域で25日間のロックダウンが行われる中、その2日目に入り、政治家らは内閣でその遅れをめぐって非難しあっている

・レバノン国内の病院は感染の大規模拡大への対処に追われている

ベイルート:レバノンの政治家らは金曜日、新型コロナウイルスの1日で約5000人が報告されるなど新規感染者が大幅に増え続ける中で、お互いを攻撃し、告発し合っていた。

ジャーナリスト、アーティスト、医師、ナース、軍人や教師たちは、ウイルスの犠牲となり、中には20代や30代もいる。同時に病院は感染の大規模拡大への対処に追われ、保健所はこの拡大する危機に警告を発している。

木曜の夜、前大臣ニコラス・ナハス氏は病気から回復したと、テレビに出演した。「ここ2ヶ月はとても苦しかった。呼吸をすることすらままならなかった」と話した。

レバノン国内全域で25日間のロックダウンが行われる中、その2日目に入り、政治家らは内閣でその遅れをめぐって非難しあっている。その論争は大統領のミシェル・アウン氏と次期首相のサード・ハリリ氏の間で、大統領によって課された条件をめぐりエスカレートしている。

ワリード・アル=バーリニ議員は「フューチャー・ムーブメント」の一員で、アウン氏の自由愛国運動を「専制政治であり、枯れた土地の政策だ」と非難した。

彼によれば、レバノンは「これ以上破壊するためのものは必要としていない」

金曜日、この政治的争いは内閣府の権限を超え、議会権利の議論にまで及んだ。

アウン氏は憲法評議会の会員たちに、憲法評議会は法律を監視することだけに留めるべきではなく、1989年のターイフ合意(レバノン国民和解憲章)に基づいた改革に従い、憲法も解釈すべきだとの見方を示した。

大統領のこの発言に多くの議員たちは反発し、その中には前首相であるナジブ・ミカティ氏や議会議長のナビ・ベリ氏もいた。ベリ氏によれば、「憲法評議会の役割は法律の合憲性を監視することに限られている。憲法を解釈するのは議会のみの権利である」という。

議員を辞任したマルワン・ハマデ氏は、このアウン氏の発言を違憲であり、憲法の権利を奪おうとしているとした。

「彼は我々をレバノン内戦時代へ連れ戻そうとしているのだ」と氏は話す。

しかしながら、憲法の権威者で、前憲法評議会の会員であるカールド・クァバニ氏は、アラブニュースに対して次のように答えた。「ターイフ合意は法律と議会選挙の合憲性を監視する権利と共に、憲法評議会に憲法解釈の権利を与えていた」

クァバニ氏は、ターイフ合意の承認に基づき、憲法修正案を書いたと話した。

「しかし、この1年後に修正案を承認するために議会が召集されたが、ジョージズ・サーデ氏(故キリスト教ファランヘ党リーダー)が憲法評議会にこの権利を与えることを許さなかった。他の議員らもそれを支持した。だから他の修正案は全て承認されたが、この案だけは承認されなかった」

クァバニ氏は、「特に今は、レバノンの憲法があまり尊重されておらず、また議会が権利と権力に関する話題にとても繊細になっているのにも関わらず、この議論がもう一度持ち上がるなんて」と驚いた。

「そんな誤りは認められないだろう」とも話した。

木曜の夜のテレビ番組で、ドルーズ派のリーダー、ワリド・ジュンブラット氏はハリリ氏に、この国は”ミサイルサイロ”[1]になっていることから、政府形成の職から降り、国を統治するためにヒズボラ[2]を離れ彼らとの関係を断つべきだ、と要求した。

「我々は統治することができない。このような平和、戦争、経済が崩壊している時期には抵抗する陣営に国の責任を握らせておいた方がよい」と話した。

ジュンブラット氏はヒズボラに「ペルシャ湾の多くのレバノン人の国外追放を避けることを考えてほしい。彼らこそが今の経済危機の希望なのだから」と訴えた。

[1] 大陸間弾道ミサイルなどの大型ミサイルを格納する建築物のこと

[2] イランとの強い結びつきがあるシーア派のテロ組織

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